中国、盛唐の詩人。浩然は字(あざな)。一説に名が浩で字が浩然ともいう。襄州(じょうしゅう)襄陽(湖北省陽県市)の人。若年は郷里の鹿門(ろくもん)山に隠棲(いんせい)。40歳ごろ初めて長安に出、王維(おうい)、張九齢(ちょうきゅうれい)らと交際してその才能を認められたが、科挙には及第せず、郷里へ帰った。のち荊州(けいしゅう)(湖北省)の長史に左遷された張九齢に招かれてその幕僚となったが、ほどなく辞任し、一生を不遇のうちに過ごした。王維とともに「王孟」と並称され、山水自然派の詩人として知られるが、王維が自然の静的な面を客観的に歌うのに比して、より主観的に、自然を人間に親しいものとしてとらえる傾向をもつ。「春眠暁(あかつき)を覚えず 処処(しょしょ)啼鳥(ていちょう)を聞く 夜来(やらい)風雨の声 花落つること知んぬ多少ぞ」(春暁)や「気は蒸(じょう)す雲夢(うんぼう)の沢(たく)、波は撼(ゆる)がす岳陽城(がくようじょう)」の聯(れん)で知られる「洞庭(どうてい)に臨みて張丞相(ちょうじょうしょう)に上(たてまつ)る」など、日本でも著名な作品が多い。『孟浩然集』四巻がある。
[齋藤 茂]
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中国,盛唐の詩人。襄州襄陽(湖北省)の人。〈もうこうぜん〉とも読まれる。青年時代は郷里の鹿門山(湖北省)に隠棲していた。40歳のとき,長安に上って科挙を受験したが落第した。その後はほとんど江南の各地を放浪して一生を終えた。王維と親交を結び,李白とも交友があった。その詩は好んで自然をうたい,清新で生々としており,田園山林詩人として王維と並び称される。〈春眠暁を覚えず〉に始まる五言絶句《春暁》はとくに著名。《孟浩然集》4巻が伝わる。
執筆者:荒井 健
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