吸(い)出し膏薬(読み)スイダシコウヤク

デジタル大辞泉の解説

すいだし‐こうやく〔すひだしカウヤク〕【吸(い)出し×膏薬】

はれ物の膿(うみ)を吸い出すためにはる膏薬。吸い出し膏。吸い出し。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

吸出し膏薬
すいだしこうやく

膏薬は生薬(しょうやく)を練り合わせてつくった油性の外用軟膏で、きわめて広い用途をもつ。膏薬のうちで腫(は)れ物に外用し、腫れ物の口を開いて膿(のう)(うみ)を出す目的に使用するものをとくに吸出し膏薬という。膏薬の歴史は古く、日本最古の医書である『医心方(いしんぽう)』にも、当時の中国医学から学んだ膏薬が数多く収載されている。わが国の売薬(あらかじめ調合して売られる薬)処方は、中国宋(そう)代に刊行された『太平恵民和剤局方』に多大な影響を受け、同書に収録されている「神仙太乙(たいつ)膏」を基に種々の膏薬が考案された。江戸時代に賞用された「太一(たいつ)膏」、「無二(むに)膏」、ある種の「万能膏」などはこの類(たぐい)の吸出し膏薬で、四酸化鉛(鉛丹(えんたん)、黄丹(おうたん))の配合された軟膏であった。なお、「神仙太乙膏」の基剤はごま油であり、これに当帰(とうき)、玄参(げんじん)、肉桂(にっけい)、地黄(じおう)、赤芍薬(せきしゃくやく)、白(びゃくし)、大黄(だいおう)、黄丹などが配合されたものである。やがて江戸末期になると、西洋からも吸出し膏薬が入ってくるが、これらの膏薬は、やし油、豚脂、オリーブ油、テレビン油などが基剤となっていた。[難波恒雄・御影雅幸]

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