やし油(読み)やしゆ(英語表記)coconut oil

翻訳|coconut oil

日本大百科全書(ニッポニカ) 「やし油」の意味・わかりやすい解説

やし油
やしゆ
coconut oil

ヤシ科(APG分類:ヤシ科)のココヤシ果実の核から得られる脂肪。核の含油部分を乾燥したものをコプラcopraという。このコプラから圧搾法により採油される。コプラ油とも称する。コプラの品質は乾燥に左右され、水分が多いものはカビを生じ、油が酸敗するから、水分を8%以下にする必要がある。コプラの乾燥度は、やし油の品質、収量に影響を及ぼす。コプラの形で東南アジアなど熱帯原産地から輸出される。含油量65~75%。マーガリン、カカオ脂代用品(水素添加やし油)、せっけん、高級アルコール、脂肪酸、グリセリン原料として用いられる。なお、パーム核油はやし油にきわめて類似した成分を有している。

[福住一雄 2019年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「やし油」の解説

やし油
ヤシユ
coconut oil

コプラ油(copra oil)ともいう.熱帯地方に繁茂するココヤシの実(含油量30~40%)を圧搾すると得られる脂肪.一般には,種子内の脂肪質を乾燥してできるコプラを圧搾すると得られる.主成分はドデカン酸グリセリドで,少量のデカン酸グリセリド,オクタン酸グリセリドなどの低級脂肪酸のグリセリドを含む.白色または淡黄色の油で,かすかな臭気と穏やかな味をもつ.融点23~28 ℃.せっけん,マーガリンなどの原料として用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「やし油」の意味・わかりやすい解説

やし油
やしゆ
coconut oil

ココヤシの果実の核の胚乳から圧搾法によって得られる脂肪。白色から淡黄色で特有の臭気がある。融点 23~26℃。カプリル酸 5.5~9.5%,カプリン酸 4.5~9.5%,ラウリン酸 44~52%,ミリスチン酸 13~19%,パルミチン酸 7.5~10.5%などの飽和脂肪酸やオレイン酸 1.5~2.5%,リノール酸 1.5~2.5%などの不飽和脂肪酸,不鹸化物 0.15~0.6%などを含む。石鹸,マーガリン,可塑剤などの原料とされる。

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