皮膚外用剤の一種で、皮膚または粘膜に塗ったり貼(は)り付けたりして、その保護、防腐、殺菌、緩和、痂皮(かひ)(かさぶた)軟化をはじめ、薬物の吸収や肉芽の発生を期待するものをいう。その形状や稠度(ちゅうど)(粘り気の度合い)によって軟膏、硬膏、絆創膏(ばんそうこう)、パスタ剤などがある。
軟膏剤は常温で容易に皮膚に塗れるものをいう。硬膏剤は常温では固形で、一般的には暖めて軟らかくして皮膚に貼り付けるか、体温で軟化して皮膚に貼り付けるもので、基剤の成分および粘着性によって脂肪酸鉛(なまり)硬膏(単鉛硬膏)、樹脂硬膏(たとえば松脂(まつやに)硬膏)、弾性ゴム硬膏の三つに分けられる。弾性ゴム硬膏は絆創膏として用いられる。単鉛硬膏を基剤としたものにピック膏があるが、これはサリチル酸とせっけんを含有したもので、癰(よう)や疔(ちょう)など化膿(かのう)性の腫(は)れ物の際に局所に適用する「吸出し膏薬」である。絆創膏にサリチル酸を50%含有させたスピール膏は、いぼ、うおのめ取りに用いられる。硬膏類は和紙に伸ばして用いるが、市販品は布に展延したものが多い。膏薬というと、この硬膏をさすことが多い。現在では絆創膏以外は家庭薬の一部にしかみられない。軟膏も親水性のクリーム状のものが多くなり、膏薬という感じが少なくなった。パスタ剤は粉末薬を多量に含む軟膏様の外用剤で、ウイルソンパスタ(亜鉛華豚脂軟膏)が有名であるが、パスタ剤も歯科用を除きほとんど使用されなくなった。最近では、プラスチック製テープに薬剤と粘着剤をつけた貼付(ちょうふ)剤(テープ)が膏薬にかわろうとしている。
[幸保文治]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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