デジタル大辞泉
「膏薬」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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こう‐やくカウ‥【膏薬】
- 〘 名詞 〙 薬品を動物のあぶらにまぜて練った外用薬。紙片または布片に塗って患部にはる。膏油。
- [初出の実例]「弾正のみこのかうやく遣はしけるに」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)別・三三一・詞書)
- 「懐中より准備(ようゐ)の膏薬(コウヤク)をとり出し、これを痍口に打(つけ)て」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)拾遺)
- [その他の文献]〔後漢書‐段翳伝〕
とう‐やくタウ‥【膏薬】
- 〘 名詞 〙 膏薬(こうやく)のこと。《 季語・新年 》
- [初出の実例]「くすりの女官にて、ふやの博士さかしだちさひらきゐたり。たうやくくばれる」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘七年正月元日)
- 「次典薬寮供二御膏薬一忌レ名称二膏(タウ)薬一」(出典:江家次第(1111頃)一)
あぶら‐ぐすり【膏薬・脂薬】
- 〘 名詞 〙 脂肪油類に種々の薬物を加えて作った薬。塗り薬、貼り薬など外用薬として用いる。擦剤(さつざい)などの類。こうやく。
- [初出の実例]「ひとりなら油薬は一と貝、頭取りからわたしたらよからう」(出典:滑稽本・八笑人(1820‐49)四)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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膏薬
こうやく
皮膚外用剤の一種で、皮膚または粘膜に塗ったり貼(は)り付けたりして、その保護、防腐、殺菌、緩和、痂皮(かひ)(かさぶた)軟化をはじめ、薬物の吸収や肉芽の発生を期待するものをいう。その形状や稠度(ちゅうど)(粘り気の度合い)によって軟膏、硬膏、絆創膏(ばんそうこう)、パスタ剤などがある。
軟膏剤は常温で容易に皮膚に塗れるものをいう。硬膏剤は常温では固形で、一般的には暖めて軟らかくして皮膚に貼り付けるか、体温で軟化して皮膚に貼り付けるもので、基剤の成分および粘着性によって脂肪酸鉛(なまり)硬膏(単鉛硬膏)、樹脂硬膏(たとえば松脂(まつやに)硬膏)、弾性ゴム硬膏の三つに分けられる。弾性ゴム硬膏は絆創膏として用いられる。単鉛硬膏を基剤としたものにピック膏があるが、これはサリチル酸とせっけんを含有したもので、癰(よう)や疔(ちょう)など化膿(かのう)性の腫(は)れ物の際に局所に適用する「吸出し膏薬」である。絆創膏にサリチル酸を50%含有させたスピール膏は、いぼ、うおのめ取りに用いられる。硬膏類は和紙に伸ばして用いるが、市販品は布に展延したものが多い。膏薬というと、この硬膏をさすことが多い。現在では絆創膏以外は家庭薬の一部にしかみられない。軟膏も親水性のクリーム状のものが多くなり、膏薬という感じが少なくなった。パスタ剤は粉末薬を多量に含む軟膏様の外用剤で、ウイルソンパスタ(亜鉛華豚脂軟膏)が有名であるが、パスタ剤も歯科用を除きほとんど使用されなくなった。最近では、プラスチック製テープに薬剤と粘着剤をつけた貼付(ちょうふ)剤(テープ)が膏薬にかわろうとしている。
[幸保文治]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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膏薬 (こうやく)
はり薬の一種で,家庭薬として古くから使われてきた剤形(薬の形)である。皮膚の保護作用,打身,捻挫,肩こり,神経痛,あかぎれなどに広く使われている。皮膚に薬効成分を密着させて徐々に吸収させる。布,プラスチックのフィルムに薬成分をのばしてつけてある絆創膏タイプのものと,昔からある厚くのばしてつけてあるプラスター塊タイプのものがある。市販には,絆創膏,サリチル酸絆創膏,家庭薬として浅井万金膏(商品名),シカマン(商品名)などがある。
→製剤
執筆者:杉原 正泰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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膏薬【こうやく】
皮膚疾患の局所に張付,塗布・塗擦などする薬物。植物性油脂(オリーブ油,ゴマ油等),鉱物性油脂(パラフィン),動物性油脂(ラノリン,ラード等)やグリセリンを適当に混ぜ合わせ,これに殺菌または抗菌薬,止痒(しよう)薬,抗生物質,消炎薬等を添加して用いる。かたさにより糊膏(ここう),軟膏,泥膏,硬膏に分類される。
→関連項目パスタ剤
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普及版 字通
「膏薬」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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