日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリーブ油」の意味・わかりやすい解説
オリーブ油
おりーぶゆ
olive oil
モクセイ科のオリーブの果実の果肉から採油される脂肪油。果実の含油量は25~60%。オリーブの主産地は、スペイン、フランス、イタリア、ギリシア、トルコなど地中海沿岸地方であり、日本では小豆島(しょうどしま)(香川県)などで少量産出するのみである。緑色の果実が熟すと、紫色さらに黒色になる。果汁の中に油は粒状となって存在している。核から採油されるオリーブ核油は、成分、性状ともにオリーブ油に似たものである。圧搾法により採油するが、さらに溶剤抽出法にかけることもある。最上等の品質のものを処女油といい、冷圧法で採油する。ヨウ素価は80~85。主要成分脂肪酸はオレイン酸で80%以上に達し、そのためオレイン酸の製造原料となる。不乾性油である。食用油としてサラダ油、てんぷら油に使用される。医薬品、缶詰用油にも用いる。食用に供しない油は主としてせっけんや化粧品に消費される。アルカリ精製の際に生ずる油滓(ゆさい)は、繊維工業用せっけん製造に用いられる。
[福住一雄]