吾妻獅子(読み)あづまじし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吾妻獅子」の意味・わかりやすい解説

吾妻獅子
あづまじし

地歌箏曲の曲名。「東獅子」とも書く。寛政9 (1797) 年峰崎勾当作曲の地歌三弦本調子手事物作詞は丁々と伝えられる。石川勾当作曲の三下りの替手もあり,箏は,京都では浦崎検校手付と伝えられ,その調弦は地域流派により異なる。一般に,関西では低平調子,山田流では半雲井調子で始められる。『歌系図』 (82) 収録曲は別曲で,これに対して峰崎勾当の曲を「新吾妻獅子」ともいう。在原業平の「東下り」が歌い出しに用いられており,後唄 (あとうた) が獅子舞にかこつけてあるのでこの曲題となっているが,全体としては男女の情を述べたもので,ほかの三味線音楽の「獅子物」とは趣を異にする。「手事物」が独立した初期の曲で,地歌としての「獅子物」の代表曲の一つ。

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