呉服座(読み)ごふくざ

改訂新版 世界大百科事典 「呉服座」の意味・わかりやすい解説

呉服座 (ごふくざ)

御服座とも書く。中世,京都あるいは近江などで活躍していた絹織物・反物取引の特権商人団。室町時代,四府所属の駕輿丁(かよちよう)たちが各種の商工業を営むようになるが,左近衛府・左兵衛府所属駕輿丁たちは洛中洛外で呉服の特権的な取引を行い,路次などで呉服の振売をする商人を排除するようになっていた。彼らはさらに近江蒲生郡横関下郷にまで進出し,山門延暦寺の本院東谷を本所とする同郡の保内呉服座と市場の争奪を行うようになった。横関にはこのほかに山門根本中堂の寄人身分をもつ呉服座があり,15~16世紀に保内呉服座と近江国内市町での呉服売買の特権をめぐって争っている。保内呉服座は野々川衆とも呼ばれ,得珍保(とくちんほ)内諸郷,すなわち蛇溝郷4人,今堀郷2人,破塚郷1人,今在家郷2人等の10余人が山門に御服年貢を納めているので,彼らはその代償として呉服座の結成をみとめられていたものであろう。なお呉服座とは称していないが,地方には絹織物の特権的取引を行っていた座があった。それらも事実上前述の呉服座と同じ商人座とみなすことができよう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「呉服座」の解説

呉服座

愛知県犬山市、博物館明治村にある施設。1892年建築。大阪府池田市にあった芝居小屋。「旧呉服座」として国の重要文化財に指定されている。

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