日本大百科全書(ニッポニカ) 「呼吸流量計」の意味・わかりやすい解説
呼吸流量計
こきゅうりゅうりょうけい
呼吸気の瞬間的流れを測定する機器。呼吸気流計、または気速計ともよばれ、呼吸機能検査機器の一つである。
人間は生命維持のために絶えずエネルギーを産生しなければならない。エネルギー産生には基質(栄養素)を燃やすために酸素が必要である。また酸素を用いてエネルギーを産生した後には、二酸化炭素が発生する。二酸化炭素は体にとって有害なので体外に排出しなければならない。酸素を外気から取り込み、不用となった二酸化炭素を体外へ放出する活動を行っているのが肺であり、この活動を呼吸という。外気の酸素と血液によって運ばれるエネルギー代謝の副産物としての二酸化炭素の交換は肺で行われる。これを換気という。換気の際に生じる気道における空気の流れ、気流の速さや流量を測定するのが呼吸流量計である。
呼吸流量計には、気流が呼気採取のための流路(管)の途中に設置した抵抗体を通過するときの呼気流入量と、抵抗体で生じる圧力の差から流量を測定するフライシュ呼吸流量計やシルバーマン・リリー呼吸流量計、抵抗線に電流を流して加熱し、気流によって抵抗線が冷却されると抵抗値が変化することを利用して流量を測定する熱線流量計などがある。一般的な肺の気量や容量の測定はスパイロメーターで行われることが多いが、気流の速さなど時間の概念を考慮する場合には呼吸流量計が用いられる。
[依田珠江]