日本大百科全書(ニッポニカ) 「スパイロメーター」の意味・わかりやすい解説
スパイロメーター
すぱいろめーたー
spirometer
肺機能検査用測定器の一つ。肺活量、努力肺活量など種々な指標の測定により換気機能障害の有無と程度を診断するために使用される。スパイロメーターによって安静換気、努力性換気の気流量volumeや気流速度flow曲線を記録する検査をスパイロメトリーspirometryといい、その記録をスパイログラムspirogramという。従来のスパイロメーターは、金属製のベル(内筒)を二重の円筒状水槽に浮かせ、気流量の変化を物理的に直接計測するベネディクト‐ロスBenedict-Roth型が多用されてきた。しかし、現在では強制呼出(こしゅつ)などの速い変動を計測するために、プラスチック製などの軽いベルが用いられ、気流量をポテンショメーターpotentiometerで電気信号に変換して計測し、さらに微分して気流速度を求め、流量・流速曲線を描かせる型が普及している。同様のタイプとしてウェッジWEDGE型、ボックスBOX型などがあげられる。また、流体に関するハーゲン‐ポアズイユHagen-Poiseuilleの式やキングKingの式の原理などを応用した流速計を用いて、気流速度を直接計測し、気流量はその積分によって求めるという小型ポータブルな電子式スパイロメーターも、簡易タイプとして広く用いられている。
[冨田友幸]