速さ
はやさ
speed
速度ベクトル v の大きさ|v|をいい,記号 v で表わす。時間Δt の間に動いた移動距離(経路に沿ってはかった距離)をΔs とすれば,Δt の間の平均の速さは =Δs/Δt となる。平均をとる時間間隔Δt を小さくしていくとき, の極限値を瞬間の速さという。
速度 v と違って,速さ v は大きさだけで方向や向きは問題にしない。たとえば音の速さ 340m/sとは,どの方向へも音は 1秒間に 340mの距離だけ伝わることを意味する。もっと一般的に,温度変化の速さ,天気が変る速さのように,現象が時間的に変る遅速の度合いを速さという語で表わすこともある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
速さ
はやさ
speed
単位時間内に進む距離。物理学では物体の運動状態を記述する量としては、速さよりは、速度をよく用いる。後者は、運動の方向を含めたベクトル量である。したがって、速さは速度の大きさであると定義してもよい。位置の時間的変化のみならず、一般に、現象の時間的変化に関して用いられることもある。
[阿部恭久]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内の速さの言及
【運動】より
…さてギリシア的な強制運動の理論と,近代力学のそれとの根本的な差は,運動力が運動体に何を与えるか,という問題である。前者はそれを運動そのもの(つまり〈速さ〉)と考え,後者はそれを運動の変化(つまり〈加速度〉)と考えているからである。近代力学の成立はニュートンの運動法則の成立に重なるといってよいが,アリストテレスからニュートンまでの2000年の時間のなかで,古代世界,ビザンティン,イスラム,中世ヨーロッパを経て熟成した運動概念についてのさまざまな研究の歴史の延長上に,ニュートンの運動法則が存在する。…
【速度】より
…乗物などで速度というときには,単位時間(1時間とか1秒)に動く距離を表すことが多く,速さ(スピード)と区別しない。しかし,物理学で運動を論ずるときには,これにその運動の方向(各瞬間における[軌道]の接線の方向)と向きを付与してベクトル量としたものを速度と呼び,その大きさを速さと呼んで区別する。…
※「速さ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」