鹿の子餅(読み)カノコモチ

デジタル大辞泉 「鹿の子餅」の意味・読み・例文・類語

かのこ‐もち【鹿の子餅】

餅菓子の一。餅や求肥ぎゅうひなどを包んだ赤小豆あかあずきさらしあんの上に、蜜煮した小豆粒をつけたもの。江戸時代から知られ、関西では小倉野おぐらのともいう。隠元豆を用いるものは京鹿の子とよぶ。
[補説]書名別項。→鹿の子餅

かのこもち【鹿の子餅】[書名]

江戸中期の咄本はなしぼん。1巻。木室卯雲きむろぼううん作。明和9年(1772)刊。63話の小咄から成り、軽妙洒脱内容好評を博し、以後咄本流行をもたらした。

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精選版 日本国語大辞典 「鹿の子餅」の意味・読み・例文・類語

かのこ‐もち【鹿子餠】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 餠菓子一種。餠をあんで包み、上に、砂糖で煮たあずき、いんげん豆などを粒のままつけた菓子。かのこ絞りに見えるのでこの名がある。かのこ。
    1. [初出の実例]「鹿(カ)の子餠(モチ)は、又太郎が見世」(出典洒落本辰巳之園(1770))
  2. [ 2 ] 咄本。一冊。木室卯雲作、勝川春章画。明和九年(一七七二)刊。江戸の短編笑話集。小本一冊という書型、題材・内容の工夫により好評を博し、後に江戸小咄本始祖といわれた。

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改訂新版 世界大百科事典 「鹿の子餅」の意味・わかりやすい解説

鹿の子餅 (かのこもち)

江戸中期の噺本。〈話稿〉の角書(つのがき)を持つ。山風(朝濤(ともなみ)七左衛門)編著。1772年(安永1)刊。小本3巻。江戸時代《昨日は今日の物語》《醒睡笑》にはじまる小咄は,元禄時代の軽口(かるくち)本を通じて盛んであったが,元禄を過ぎると,やや下火になった。本書は,いわゆる田沼時代(安永・天明期)の初頭に出版された江戸の小咄集で,噺本復活の口火を切ったものである。江戸小咄はこれを機に隆盛を極め,落語にも利用された。江戸小咄らしいきびきびした咄が多く,〈蜜柑〉〈盗人〉〈借雪隠(かりせつちん)〉〈初夢〉など現在の落語でも聴かれる。作者の山風は,小普請(こぶしん)の幕吏で,木室卯雲(きむろぼううん)として狂歌でも有名である。
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デジタル大辞泉プラス 「鹿の子餅」の解説

鹿の子餅

富山県高岡市、富山不破福寿堂が製造・販売する銘菓。糯米(もちごめ)と砂糖に泡立てた卵白を合わせ金時豆の蜜漬けを散らしたもの。

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