和達=ベニオフ帯(読み)わだちベニオフたい

百科事典マイペディア 「和達=ベニオフ帯」の意味・わかりやすい解説

和達=ベニオフ帯【わだちベニオフたい】

深発地震帯とも。海溝軸部から島弧や陸弧の下に向かって,深発地震震源の深さがしだいに深くなることが知られており,この深発地震の震源の分布するところをさす。深発地震面と呼ばれることもあるが,深発地震の震源は面状ではなく層状に分布しており,帯と表現するのが適当である。名称は深発地震や深発地震帯研究した和達清夫ベニオフの名にもとづく。詳細な研究によると,この地震帯は1層とは限らず,上下2層になっているところもある。また地表からの角度も数十度から垂直に近いものまで知られている。
→関連項目深発地震和達清夫

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の和達=ベニオフ帯の言及

【サブダクション帯】より

…二つのプレートの収束境界のうち一方が海底の場合に起こる。海溝から陸の下へ傾いた深発地震面として,1928年に和達清夫によって発見されたのが始まりで,54年にアメリカのベニオフHugo Benioffによって世界各地の例がまとめられたので和達=ベニオフ帯Wadati‐Benioff zoneまたは単にベニオフ帯ともいう。その後,地震の発震機構の研究から,硬い海底リソスフェアが海溝の下で折れ曲がり,陸の地殻とすれ合いながらマントル内深くへ沈み込んでいるようすが示された。…

【深発地震】より

…震源の深さが100kmを超えるような深い地震を一般に深発地震と呼ぶ場合が多いが,深さ60kmから300kmまでの地震を“やや深発地震”,300kmより深いものを深発地震と呼んで区別する場合もある。世界で最も深い地震は720km,日本付近では600km程度である。このような地球内部の深い場所に地震が実際に起こっていることを確証したのは,日本の地震学者和達清夫である。和達の研究によって,太平洋側から日本列島下に北西―西―南西方向へ傾斜する深発地震面が存在することが初めて明らかとなった。…

※「和達=ベニオフ帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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