咲前神社
さきさきじんじや
[現在地名]安中市鷺宮
碓氷川南方の丘陵上に鎮座し、祭神は経津主命など一〇柱。旧村社。社伝によれば経津主命が上信国境荒船山(現甘楽郡と長野県佐久市境)に出陣の際、当所に宿陣したという。白鳳元年その地に下総国香取神社(現千葉県佐原市)の経津主命を勧請、大己貴命・保食神を合祀した。この頃先宮明神とよび、また鷺宮明神とも称した。万延元年(一八六〇)前宮神社と改号した。「上野国神名帳」の一宮本と群書類従本に載る従五位上咲前明神、総社本の従五位咲前明神にあてられる。当地は古代碓氷郡礒部郷(和名抄)に属していたとみられ、物部系統の氏族により経津主命を祀っていた。社伝でいう先宮・前宮は上野一宮である貫前神社(現富岡市)の先の宮・前の宮という関係であり、当地は抜鉾神社の最初の鎮座地とされる(→礒部郷)。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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