喉・咽・吭(読み)のど

精選版 日本国語大辞典 「喉・咽・吭」の意味・読み・例文・類語

のど【喉・咽・吭】

〘名〙 (「飲(の)み門(と)」の意の「のんど」の変化した語)
① 一般に動物頸部の腹面にあり、消化管の口腔につづく部分。哺乳類では軟口蓋および舌根による狭い部分で、気管の外、発音器官にもなっている。無脊椎動物では腸の前方の部分で筋肉性の箇所を咽頭という。繊毛虫では、漏斗状をした口陥入部の下部を細胞咽頭という。咽頭。喉頭。
※百座法談(1110)三月九日「一ていの水をえてはべりしままに、のどをうるふるはべらず」
② 歌う声。
即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉旧羈靮「おん身の才と云ひおん身の吭(ノド)と云ひ」
③ 大事なところ。急所
書物の各ページの背に近い部分。また、とじ目の余白。新聞のページの境の余白部分。〔新らしい言葉の字引(1918)〕
⑤ 空穂(うつぼ)の部分の名。矢をさし込む竈(かまど)と空穂の穂とをつなぐ部分で、「わたり」ともいう。
[語誌](1)ノドを表わす上代の語はノミドで、ノミはノム(呑)の連用形、ドは門の意のトが連濁によって変化したもの。
(2)平安時代に撥音便化してノムドとなり、院政期にはノドの表記も見られるようになるが、実際にはまだノムドと発音していたと思われる。
(3)中世以降はノドの方が優勢になり、辞書には両様の表記が見られるが、複合語ではほとんどノドとなっており、一般的にノドと表記したと思われる。しかし、ノンドも明治初期まで見られた。

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