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即興詩人 そっきょうしじんImprovisatoren

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

即興詩人
そっきょうしじん
Improvisatoren

デンマークの作家アンデルセンの青春小説。 1835年刊。2度目の外国旅行のおりに魅せられたイタリアの自然を背景として自身の体験をもとに書かれた恋物語で,作家としての地位を確立した世界的名作。純粋,素朴な心の若い詩人が波乱の彷徨から幸福な結婚をつかむまでをロマンの香り高く描き上げたもの。日本では森鴎外が 92年から 1901年までの長い年月をかけてドイツ語訳テキストから完訳した。その翻訳態度は逐語訳から次第に意訳に近づき,また,漢語雅語を自在に駆使した文体はみずみずしい浪漫的抒情をたたえ,原作以上の香気をもつと評される。

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デジタル大辞泉の解説

そっきょう‐しじん〔ソクキヨウ‐〕【即興詩人】

即興詩を得意の芸として諸国を放浪する詩人。
[補説]書名別項。→即興詩人

そっきょうしじん【即興詩人】[書名]

《原題、〈デンマークImprovisatorenアンデルセンの小説。1835年刊。イタリアを舞台に、詩人アントニオの遍歴の旅と、友情、恋を描く。森鴎外の翻訳が有名。

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百科事典マイペディアの解説

即興詩人【そっきょうしじん】

アンデルセンの長編小説。1835年作。イタリアの風物を背景に主人公アントニオが詩人に成長するまでの自伝的物語。森鴎外による翻訳が《しからみ草紙》《めさまし草》に連載され(1892年―1901年),その訳文自体が明治浪漫主義の代表作とされる。
→関連項目しからみ草紙

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世界大百科事典 第2版の解説

そっきょうしじん【即興詩人 Improvisatoren】

デンマークの作家アンデルセンが1833‐34年のイタリア旅行中,その芸術と風景にふれ,情熱と詩情をかき立てられて筆を起こし,帰国してからまとめ上げた小説。1835年刊。自伝的要素を多分に持ち,ローマで生まれた主人公アントニオが苦しい修業時代を経て詩人となる,恋愛と成功の物語は,当時デンマークの内外で愛読された。これは次の童話出版への自信と意欲を作者に与えることになった。作品中のイタリア風物のリアルな描写は,美しい自然と人々の生活を今にいたるまで巧妙に伝えている。

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大辞林 第三版の解説

そっきょうしじん【即興詩人】

昔、西欧の王侯の宴会などで、その雰囲気などに応じて即興的に詩を作り歌った詩人。
書名(別項参照)。

そっきょうしじん【即興詩人】

小説。アンデルセン作。森鷗外訳。詩人と薄幸な歌姫との悲恋を南欧を舞台に描く。翻訳は1892年から1901年にかけて「しからみ草紙」「めさまし草」に連載され、浪漫性豊かな訳として、次代の作家に影響を与えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

即興詩人
そっきょうしじん
Improvisatoren

デンマークの作家、アンデルセンの長編小説。1835年作。ローマに生まれたアントニオが、祭りの雑踏のなかで母を失って孤児となり、持って生まれた即興詩の才を唯一の頼りに青春の彷徨(ほうこう)を重ね、美しき歌姫アヌンチャタをめぐって親友と決闘するなどの波瀾(はらん)を重ねながら、最後はベネチア市長の姪(めい)の清純な美女マリアの愛を得て幸福の生涯に入るまでを描く。逆境に生い立った青年の詩と愛とさすらいの物語には作者の全体験が投げ込まれており、「この小説のなかには私の体験したもの以外は何一つない」と作者はいっている。9年間にわたる森鴎外(おうがい)の苦心の訳は、明治・大正期の青年を熱狂させ、浪漫(ろうまん)精神を沸き立たせた。阿部次郎、小泉信三、木下杢太郎(もくたろう)らは外遊に際してはこの本をポケットに忍ばせてイタリア各地を巡礼したほどだった。[山室 静]
『森鴎外訳『即興詩人』(『現代日本文学全集55』所収・1956・筑摩書房) ▽大畑末吉訳『即興詩人』(岩波文庫)』

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世界大百科事典内の即興詩人の言及

【アンデルセン】より

…外国旅行で心の傷はいくぶんいやされ,そのつど集められた精神的エネルギーは激しい創作意欲をたぎらせた。イタリア旅行(1833‐34)の後,抒情性豊かな小説《即興詩人》(1835)が生まれ,一躍出世への道が開けた。《O.T.》(1836),《ただのバイオリン弾き》(1838)といった自伝的色彩の濃い小説が続くが,男女の細かい心理描写などは得意でなかったようである。…

※「即興詩人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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