複合語(読み)ふくごうご

精選版 日本国語大辞典 「複合語」の意味・読み・例文・類語

ふくごう‐ご フクガフ‥【複合語】

〘名〙 (compound word の訳語) 本来それぞれ独立の言語要素が、二つ以上結合して、新たに単純な一語としての意味機能をもつようになったもの。「やまがわ(山川)」「ゆうやけ(夕焼)」「とおあさ(遠浅)」「はやおきどり(早起鳥)」「おちつきはらう(落着払)」など。なお、「ときどき(時々)」「やまやま(山々)」などのいわゆる畳語もこの一種であるが、複合要素の一方接辞であるもの(派生語)、また、助辞であるものは、普通にはこれに含めない。複合語では、もとの語のアクセントが変化し、また、連濁・転音・連声(れんじょう)や、音の挿入・縮約・脱落などの変化を生じているものがある。合成語熟語複語。⇔単純語。〔文語口語対照語法(1912)〕

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デジタル大辞泉 「複合語」の意味・読み・例文・類語

ふくごう‐ご〔フクガフ‐〕【複合語】

本来独立した単語が二つ以上結合して、新たに一つの単語としての意味・機能をもつようになったもの。「ほんばこ(本箱)」「やまざくら(山桜)」「かきあらわす(書き表す)」などの類。合成語。熟語。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「複合語」の意味・わかりやすい解説

複合語
ふくごうご

単語をその構成上から分類した場合の一類で、本来独立した用法をもつ二つ以上の単語が結合してできた単語をいう。名詞(雪山、追風)、動詞(投げ出す、血走る)、形容詞(細長い、根強い)など多くの品詞にあり、構成要素の語の品詞も名詞、動詞(の連用形)、形容詞(の語幹)、副詞などさまざまである。なお、複合語の構成要素となった単語は、雨傘(あま←あめ+がさ←かさ)、秋風(あきか ぜ←あ き+かぜ)など、語形の一部やアクセントが単独の用法と異なる場合がある。構成要素の語種も、和語、漢語、外来語さまざまであり、このうち漢語どうしの結合は「熟語」とよぶことが多い。同種の語の結合のほかに、重箱(漢+和)、手製(和+漢)、消しゴム(和+外)、スタート台(外+漢)など、異なる語種の組合せもある。これらを「混種語」ということがある。アベック・ホームラン(フランス語+英語)のように由来の異なる外来語の組合せもある。また、やぶく(←やぶる+さく)、微苦笑(←微笑+苦笑)のように、類似した語どうしがない交ぜになってできた語を「混成語」または「かばん語」といい、これも複合語の一種である。歴史的には複合してできた語とみなせるものでも、肴(さかな)(←酒+菜)、蛤(はまぐり)(←浜+栗(くり))、黄昏(たそがれ)(←誰(た)+そ+彼)など、複合語と意識されなくなった語も多い。ある一続きの語が複合語であるか否かの判断には実際には微妙なものがある。

[清水康行]

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百科事典マイペディア 「複合語」の意味・わかりやすい解説

複合語【ふくごうご】

合成語とも。単語のうち,二つ以上の要素に分析でき,しかもその要素が独立の用法をもつ単語であるもの。接辞を使う派生語と区別する。複合語は単に2語の連続ではなく,アクセントの移動や接合部の音変化など,形式的にも内容的にも標識がみられる。たとえば,雨と傘で〈あまがさ〉。印欧語ではサンスクリットやドイツ語がこれを多用する。
→関連項目熟語濁音

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改訂新版 世界大百科事典 「複合語」の意味・わかりやすい解説

複合語 (ふくごうご)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「複合語」の意味・わかりやすい解説

複合語
ふくごうご

合成語」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の複合語の言及

【形態素】より

…〈ホンバコ〉という語は,〈ホン〉と〈バコ〉という意味をもつ最小単位,すなわち形態素に分けられる。バコ/bako/はハコ/hako/と同じ意味であるが,複合語の後の要素として用いられている。このように形態素は現れる場所により異なる語形をとることがある。…

【語形成】より

…たとえばblack bird(黒い鳥)は2語であるが,blackbird(ムクドリ)は1語であって複合である。ホン・バコ,クズ・カゴは複合語(合成語)である。何が複合語であるかは,どれを〈一単語〉とみるかにかかっている。…

【熟語】より

…2個以上の単位の語が結びついて,構文上1個の単語と同様の働きをするものを,一般に熟語という。一連の表現ではあるが,文法上なお数個の単語の連続とみなされるもの(その連続の間には助詞の働きが認められる)は,慣用句,成句などとよび,その結合が1個の単語とみなされて全体としてある1品詞に属させられるときは複合語,成語などとよぶ。【林 大】。…

※「複合語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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