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かまど

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

かまど

竈とも書く。,鍋などを掛けて煮炊きをする施設。俗にヘッツイまたはクドともいい,古くからいろりとともに炊事用に用いられた。石または土で囲み,上に釜や鍋を掛ける。多くは台所の土間の一部に固定して設けられるが,移動できるものもある。手前側に薪やわらなどの燃料を入れる口があり,炎と煙は釜の底をなめて前方の焚口の上部から出るようになっている。室内に煙がこもるため,次第に改良されて煙突や火格子を設けるようになった。また熱効率をよくするため,焚口から煙突までの間に第2,第3の鍋を掛けて,余熱を利用できるものもある。かまどは神聖なところとされ,その火は,家族の食べる物を煮炊きするところから,家あるいは家族そのものを象徴するものとされる。同じ火を囲み,同じ火で食事をとる者を家族と考える民族は多いが,日本においても,かまどが家の単位を表わす地方が多く,分家のことをカマドワケなどと呼んでいる。また一家の安全を守るものとして信仰される竈神は,祖先崇拝にも通じている。近年は,都市ガスプロパンガスの普及に伴い,かまどはほとんど姿を消した。

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デジタル大辞泉プラスの解説

かまど

香川県坂出市、名物かまどが製造・販売する銘菓。手亡豆を使った黄身餡を卵溶き生地で包み焼き上げた饅頭。坂出が塩の産地であったことから塩を炊くかまどをかたどっている。「名物かまど」とも。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

かまど
かまど / 竈

(なべ)、釜(かま)をかけて食物など物を煮炊きする設備。ヘッツイ、クドなどともいう。カマドは竈処の義、ヘッツイは戸津火(へつい)で民戸の火という意、クドは火処の転訛(てんか)という。いろりが暖房の目的にも用いられたのに対して、かまどはもっぱら炊事用とされた。
 中国大陸では、今日みるようなかまどの形式がいつごろから始まったか明らかではないが、秦(しん)・漢時代になると、墳墓の中から瓦製明器(がせいめいき)としてかまどが出土したり、また壁画として描かれたりしているので、すでにこの時代には煮炊きはかまどでなされていたことはほぼ間違いないところであり、当時、かまどは、倉や井戸などとともに、家の富を象徴する一つの施設としても考えられていたようである。
 日本では、すでに縄文・弥生(やよい)時代の竪穴(たてあな)住居にいろりのような炉があったが、かまどの存在が確認されるのは古墳時代で、この時代に入ると大陸文化の影響か、炊事にかまどが用いられるようになり、ことに古墳時代後期ともなると、かまどはかなり広く行われている。この時代のかまどには、移動しうるかまどと、住居の内壁に造り付けたものとがあり、移動性かまどは、粘土を焼いてつくったもので、煙道がなく、排煙はたき口の上から行うもので、おもに近畿地方を中心に古墳時代後期の住居址(し)や古墳出土品にまれにみられるところで、これが広く一般に行われていたとは思われない。一方、竪穴住居址の内壁に造り付けたかまどの例は非常に多く、普通、かまどの位置は竪穴の奥壁にあり、南側に入口のある住居址では北壁に設けられている。粘土で築いたもの、石に粘土を塗ってつくったもの、石を積み重ねて築いたものなどがあり、いずれも住居内側に向けてたき口を開き、上に釜をかける穴があり、奥壁には煙道をつくり、煙を戸外に出すとともに、通風をよくするくふうがなされている。このようなかまどを土間に築く構造は、その後も長く行われ、『信貴山(しぎさん)縁起』など平安時代以後の絵巻物にもみえているが、近世に入るとその規模を拡大して、いわゆる大竈(おおがま)として発展した。大竈は一般に下部を石材で築き、土、漆食(しっくい)などでつくり、大釜(おおがま)を仕掛けるほか、茶釜、鍋などもかけられるように数個の口を設けたものもあった。しかし、明治以後は廃れて、わずかに農山村地方にその名残(なごり)をとどめているが、とくに京都の八瀬(やせ)・大原付近の農家の大竈はその典型的なものであった。
 こうした土間に築くかまどに対して、一方、床上に置くかまども近世都市の発達に伴って大いに普及した。京坂地方では家族の人数に応じて、三つべっつい、五つべっつい、七つべっついなどといって、火口が3個、5個、7個もあるかまどが用いられた。かまどは黄色で黒塗りのものはなく、また江戸のように銅竈を用いることもなかった。たき口の前および竈底などには平瓦(ひらがわら)を敷き、火口の周囲にも瓦を用いた。竈台には多く杉材を使用し、かまどを置くのに、たき口を土間に向け、板間を背にして置いた。これに対して、江戸では、普通、かまどの位置は京坂地方とは反対に、板の間にたき口を向け、土間を背にして置き、火口も1個の二つべっついか、多人数の家でも火口3個の三つべっついを用い、京坂地方のような5個も7個も火口のあるかまどは使用されなかった。これは、江戸の地価が高く、一般に住宅面積が狭いためで、煮物などには別に小形の石竈のシチリンを用いた。中流以上の町家では、銅竈を土竈に併置したものや全部銅製の銅竈を使用し、これをドウコとよんでいた。ドウコの中に水を入れて火をたくと、中の水が湯になるので重宝とされた。なお、竈台は、土竈にはケヤキ材、銅竈には石材が用いられた。また、かまどの用途は、炊事用だけでなく、ほかに工業用、製薬用、染色用などもある。しかし、かまども明治・大正時代までは盛んに使用されていたが、東京では関東大震災を境に、ほとんど一般家庭からはその姿を消してしまった。現在では、衛生的、経済的な改良かまどが、商業用、業務用としてわずかに使用されるだけとなっている。[宮本瑞夫]

民俗

民俗としてのかまどは、火を扱うので、日本では古くから神聖な場所として考えられ、まず、家を守る屋内の神として、かまど神の信仰をはじめ、また、かまどが家の中心にあるとみられるところから、家の象徴として、あるいは家の単位を表す語としても用いられている。たとえば、戸数をカマドカズとよび、1戸1人ずつの出役のことをカマドともよぶ。分家することをカマドナリ、カマドヲタテル、カマドニダス、カマドヲワケルなどともいい、逆にカマドヲカエス、カマドヲヤブル、カマドヲタオスとは、身代をつぶすことをいった。また一家の主人を「かまど将軍」とよび、転じて、権勢を振るうおうへいな女房にも用いられた。一方、滋賀県愛知(えち)郡では、カマドミセといって、新嫁新婿を親類の家々で招く習俗がある。[宮本瑞夫]

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