営業秘密侵害罪(読み)えいぎょうひみつしんがいざい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「営業秘密侵害罪」の意味・わかりやすい解説

営業秘密侵害罪
えいぎょうひみつしんがいざい

不正競争防止法が定める,企業の営業秘密を侵害する罪。1990年の不正競争防止法改正で営業秘密の民事的保護が規定され,2003年の同法改正により営業秘密侵害罪が創設された。不正の利益を得る目的で,または企業に損害を与える目的で営業秘密を不正に取得,領得,使用,開示する行為などがこの罪にあたり,転得者による使用や開示,営業秘密侵害によって生産された物を譲渡,輸出入することも含まれる。経済の知識集約化(→知識集約産業)に伴う知的財産権の重要性の高まりや,情報化による情報の移転の容易化などをうけ,2005,2006,2009,2015年などたびたび罰則が強化された。営業秘密を侵害した者には 10年以下の懲役または個人の場合 2000万円以下(海外への漏示の場合 3000万円以下)の罰金,法人の場合 5億円以下(同 10億円以下)の罰金あるいは併科される。2015年の改正により非親告罪(→親告罪)となり,未遂行為も対象となった。

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