デジタル大辞泉
「営業秘密」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
営業秘密
えいぎょうひみつ
trade secrets
秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報で,公然と知られていないもののこと。不正競争防止法の 1990年の改正により保護に関して規定された (1条3,4項) 。営業秘密に関する不正行為は,窃取など不正な手段による産業スパイ的な取得行為と,不正図利ないし加害目的での信頼違反的な使用または開示行為の2類型に大別される。前者については取得,使用,開示行為のほか,不正取得された情報の流出であることを知って取得,使用,開示する行為,不正取得が介在することを取得後に知って使用または開示する行為も不正行為とされる。後者については,不正開示による流出情報であることを知って取得,使用または開示する行為,取得後に悪意になったのち使用または開示する行為も不正行為とされる。重大な過失は悪意と同一に扱われる。営業秘密の保有者は,営業秘密に関する不正行為の停止または予防を請求することができ,必要な場合には不正行為を組成した物,不正行為に供した設備などの廃棄その他必要な措置の請求ができる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
知恵蔵
「営業秘密」の解説
営業秘密
企業秘密、トレードシークレットあるいはノウハウとも呼ばれ、不正競争防止法で保護される営業秘密としては、(1)秘密として管理され、(2)事業活動に有用で、(3)公然と知られていない情報、のことを指す。また、営業秘密として保護されるには、判例等では、「秘」「極秘」などとその他の情報と客観的に区別されて、情報媒体とその管理施設へのアクセスが制限されていることが要件となっている。ビジネスの現場では、特許権などのように積極的に権利化できるものだけでなく、顧客データや製造ノウハウ、成分組成など権利化ができない、あるいは権利化することが事業活動上、不得策となるような情報を有している企業は多い。近年では、そのような営業秘密が意図せざる形で社外流出する事例が多いため、企業と従業員との間で秘密保持契約を締結する例が増えている。2005年の不正競争防止法の改正では、在職中にその申し込みや請託を受けた場合には、退職者による営業秘密の不正使用や開示に対して刑事罰が科せられるなど営業秘密の重み、重要性が高まっている。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の営業秘密の言及
【ノウ・ハウ】より
…そこで厳密には,秘密性はノウ・ハウの保護要件ではあるが,本質的要素ではないとされる。これに対し,営業秘密trade secretsは,営業上の価値ある秘密情報であり,秘密を本質的要素とする。ノウ・ハウは経営の秘密,人事の秘密等とともに営業秘密の一対象である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」