回回暦(読み)かいかいれき(その他表記)Huí huí lì

改訂新版 世界大百科事典 「回回暦」の意味・わかりやすい解説

回回暦 (かいかいれき)
Huí huí lì

回暦ともいわれ,中国において純粋な太陰暦によるイスラム暦を指したもの。月の満ち欠けの1周期を1月とし,12月を1年とする。1ヵ月は30日と29日からなり,閏月を置かないので354日が1年となる。30年を1周期とし,そのなかで年末の12月に閏日をおいた11年だけ(したがってこの間に11の閏日がある)は355日からなり,両者を平均すると1年が354日8時間48分となって,2.7回帰年ごとに1月の差,32.6年ごとに1年の差が累積する。回回暦はまた,中国に伝えられた元代から清代のアラビア天文学をも意味し,天文器械の導入,天文書の翻訳,日月食の予報などを通して当時の中国天文学に無視できない影響を与えた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 橋本

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「回回暦」の意味・わかりやすい解説

回回暦
かいかいれき

元・明代の頃,中国に伝来したアラビア天文書。元の初期,アラビア天文学が伝わり,その暦法が中国古来の暦の計算是正に役立った。フラグカンによってイランに建てられた大天文台で編まれた『イルカン天文表』を参考につくられたものといわれる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android