国境税(読み)こっきょうぜい(英語表記)border tax

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国境税」の意味・わかりやすい解説

国境税
こっきょうぜい
border tax

輸出入により商品が国境を出入りする際に賦課あるいは還付される租税。輸入品に対し国内産品と同率の消費税の全部または一部を課す輸入調整税と,輸出品に対し国内で課せられた消費税の全部または一部を還付する輸出戻し税とがあり,国境税調整ともいわれる。消費税は消費地で課税されるべきであるとする仕向け地課税主義に基づくものであり,国内の消費税率の範囲内で調整されるかぎり無差別貿易の原理に抵触せず,ガット GATTの規約違反にはならないとされている。しかし,この税制は輸出に輸出補助金を与え,輸入に非関税障壁を設けるのと同じ効果をもち,輸入抑制,輸出促進の効果がある。さらにヨーロッパ連合 EU諸国のように間接税の比重の大きな国に有利であり,アメリカや日本のように直接税中心の国にとって不利であるので,1968年に EUの前身ヨーロッパ共同体 ECがこの税制を採用して以来,アメリカは貿易自由化の原則に照して撤廃すべきであると主張している。

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知恵蔵mini 「国境税」の解説

国境税

輸出入品が国境を出入りする際に課せられる、または還付される租税(国や地方公共団体が、その経費にあてるために強制的に徴収する収入)のこと。 「国境調整税」ともいわれ、輸入品に対して国内産品と同率の消費税の全てあるいは一部を課す輸入調整税と、輸出品に対して国内で課せられた消費税の全てまたは一部を還付する輸出戻し税とがある。2016年11月の米大統領選後、トランプ次期大統領はTwitterなどで、自動車メーカーなどに対し、海外で生産した製品を輸入する場合、高い「国境税」を支払うことになるということを強調してきた。これを受ける形で米議会共和党は2017年1月にトランプ次期大統領が掲げる企業の生産拠点の「米国回帰」を促す仕組みとして同税の導入を検討しており、にわかに同税に対する注目が高まった。

(2017-1-17)

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