国家安全保障公文書館(読み)こっかあんぜんほしょうこうぶんしょかん(英語表記)National Security Archive

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国家安全保障公文書館
こっかあんぜんほしょうこうぶんしょかん
National Security Archive

アメリカの安全保障・外交・軍事に関連した文献・写真などを発掘・収集・保管する民間シンク・タンク。英語の頭文字からNSAの略称で知られ、「アメリカ国家安全保障アーカイブ」とよばれることもある。1985年、安全保障に詳しい学者やジャーナリストらが、アメリカのワシントンDCにあるジョージ・ワシントン大学構内に設立した。カーネギー財団、フォード財団、ニューヨーク・タイムズ基金、読売新聞社など100を超える民間組織などの寄付金で運営されている。国家安全保障公文書館という名称から政府系機関であると誤解されがちであるが、純粋に非営利の民間機関であり、アメリカ国家安全保障局(NSA:National Security Agency)とは無関係である。アメリカ情報公開法などに基づき、機密扱いを解かれた公文書などを入手し、分析・公表している。資料のうち重要と判断した文献などは、コピー提供やウェブサイト上への掲載などで一般に公開している。安全保障関連の文献の所蔵先としては、アメリカ政府に次ぐ規模で、所蔵文献・写真などは安全保障をめぐる主要国の交渉過程などを裏づける歴史的価値があるとされている。
 国家安全保障公文書館はこれまで、1950年代の冷戦時、1958年の第二次台湾海峡危機時、1968年のプエブロ号事件(アメリカ軍艦が北朝鮮に拿捕(だほ)された事件)などに際し、アメリカ政府やアメリカ軍がソ連(当時)、中国、北朝鮮への核攻撃を検討したことを示す公文書や、核戦争が起きた場合にアメリカで最大1億5000万人の犠牲者が出るとのアメリカ政府の予測文書、1989年の第二次天安門事件の発砲状況などを伝える証言なども公表している。2016年には、日本に返還される前の1960年代の沖縄で撮影された核兵器の写真を公表した。[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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