軍艦または軍用航空機などが、一定の船舶または航空機をその支配下に置き占有する行為。戦時には、交戦国の軍艦は、敵国の船舶、あるいは戦時禁制品の輸送、封鎖の侵破などを行った中立国船舶を海上で拿捕することができ、拿捕された敵国軍艦・公船は戦利品となり、敵国私船および中立国船舶は自国の捕獲審検所で検定のうえ処分が確定する。平時においては、いずれの国の軍艦・軍用航空機なども、公海において、国籍のいかんを問わず、海賊船舶・航空機を拿捕し、自国で処罰するために自国に引致することができる。また、公海漁業・資源保存に関する諸条約で、すべての当事国の権限ある公務員が違反船を拿捕しうる旨規定している場合がある。もっとも処罰は旗国が行う(北太平洋公海漁業条約、オットセイ保護条約など)。また、200海里水域内での漁業違反に対する沿岸国による拿捕およびその後の措置が、条約あるいは国内法で規定されている(日ロ地先沖合漁業協定、排他的経済水域漁業等主権的権利行使法など)。
[水上千之]
軍艦や軍用航空機等が,外国の船舶を支配下に置き占有すること。拿捕すべき船舶に士官を乗り込ませ,実力を背景に船長以下の乗組員を命令に従わせる。私船による拿捕(私拿捕船)は1856年のパリ宣言により禁止された。航空機に対する拿捕も法的には可能である(国連海洋法条約105条)。戦時には,海上における捕獲権行使に際し,敵船は公・私船を問わず拿捕の対象となり,戦時禁制品輸送,封鎖侵破,軍事的援助等,敵国に有益な行動をとった中立船も臨検・捜索のうえ拿捕される。平時には,領海,接続水域,排他的経済水域において沿岸国の法令に違反した外国商船は,臨検・捜索のうえ,拿捕される。臨検・捜索に抵抗した船も同様である。この場合,外国商船が公海へのがれても,継続追跡権を行使して公海上で拿捕できる。また,公海においては,海賊行為,奴隷取引,海賊放送に従事した船舶も拿捕の対象となる。さらに,日本,アメリカ,カナダ3国間の北太平洋公海漁業条約や,日ソ漁業条約など特別の条約に基づき,違反漁船の拿捕が認められた例もある。戦時に拿捕された船舶は捕獲審検手続に付される。海賊船は拿捕した国が裁判を行い,処分を決定できる。十分な嫌疑のない拿捕については,拿捕した軍艦等の旗国は,拿捕された船舶の旗国に対して補償の責任を負うことがある。
執筆者:田中 忠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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