日本大百科全書(ニッポニカ) 「国法学の主要問題」の意味・わかりやすい解説
国法学の主要問題
こくほうがくのしゅようもんだい
Hauptprobleme der Staatsrechtslehre ドイツ語
オーストリアの法哲学者ハンス・ケルゼン著。1911年刊。新カント主義を基調とする新たな哲学を基礎として、ドイツ国法学の国家論の解体を試みた著書。国家とは法の背後に想定された人格であり、国家意思とは法の擬人的表現にほかならず、国家行為とは法の内容を実現する人間の行為にすぎないとして、目に見えない超越的な実体としての国家概念を否定した。やがてこの理論が一般化されて、「純粋法学」の体系となる。父親の事業の破産に伴う経済的困難のなかで著された20代の作品で、これによって著者はようやく「私講師」の地位を得る。1923年に第2版が刊行された。
[長尾龍一]