国際慣行(読み)こくさいかんこう(その他表記)international practice

改訂新版 世界大百科事典 「国際慣行」の意味・わかりやすい解説

国際慣行 (こくさいかんこう)
international practice

多数の国家が繰返し行っている対外的な国家行為のこと。international custom,international usageともいう。儀礼便宜に基づく国際礼譲を含むが,それよりは広い概念である。第2次世界大戦後,多くの沿岸国が,領海外側に一定の幅の水域を設けて,その水域内における漁業活動を規制するようになったが,これなどは,国際慣行一例といえる。国際慣行は,事実上諸国がその行為を行っているということであって,それ自身,法ではない。したがって,慣行に従わない国があっても国際法上の責任を問われることはない。もっとも国際慣行は,それを守ることが義務であるという信念(法的信念)を伴うことにより,慣習国際法に発展する可能性をもっている。漁業規制水域は,今日,排他的経済水域の制度として,慣習法化されつつある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際慣行」の意味・わかりやすい解説

国際慣行
こくさいかんこう
international practice or usage

国家間あるいは国際機関において繰返し行われる行為の定型をいう。慣行が法的確信を伴って行われるときは慣習国際法として拘束力をもつが,長期間繰返されても慣行にとどまるものもある。

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