園芸療法(読み)えんげいりょうほう

百科事典マイペディア 「園芸療法」の意味・わかりやすい解説

園芸療法【えんげいりょうほう】

作業療法の一つで,身体的,精神的障害の治療やリハビリテーション自立のための職業訓練に,植物や園芸作業を用いる方法。ホーティセラピーhortitherapyの訳。主に医療,福祉の現場で活用されている。 草花を育てる一連プロセスを通して,さまざまな効果が得られる。身体面の効果では,身体を動かして園芸作業を行うことで運動機能が回復される点,大きさ,香り,色など五官を刺激する要素が含まれている点などがあげられる。精神面では,自分が世話をしたから育ったという責任感や達成感があじわえる,それによって自分の存在価値が自覚できプライドの回復や生きがいにつながる,自分以外のものに対する愛情や興味がめばえる,人とコミュニケーションがとれるなどの効果が期待できる。また,園芸の技術や知識を身につけ職業として生かし,社会復帰にもつながるケースもある。 作業療法に園芸を導入し始めたのは,1940年代の英国米国などであるが,ガーデニングのさかんな欧米諸国では特に評価が高く,広く研究されている。日本では1990年代に入ってから,研究会や支持団体が発足し,園芸療法の専門家である園芸療法士の制度も確立された。現在,全国病院身体障害者や精神発達遅滞者の施設養護学校などで積極的に導入され始めている。
→関連項目ガーデニング

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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