改訂新版 世界大百科事典 「園韓神祭」の意味・わかりやすい解説
園韓神祭 (そのからかみのまつり)
平安京宮内省内にまつられていた園神と韓神との祭り。園・韓神は平安京造営以前よりこの地にあり,帝王を守らんとの神託により他所に移さずにまつられた。《延喜式》神名帳には〈宮内省に坐(いま)す神三座〉として,〈園神社 韓神社二座〉とあり,いずれも官幣の大社で名神,月次,新嘗などの祭りには奉幣にあずかった。韓神は《古事記》上巻には,大年神(おおとしのかみ)の子と見えているが,園神は大物主神(おおものぬしのかみ),韓神は大己貴神(おおなむちのかみ)と少彦名神(すくなひこなのかみ)の2神で,これらの神は疫病から守る神ともいわれる。この祭りは神祇官がまつる官祭で,祭日は,2月が春日祭(上申)後の丑の日,11月が新嘗祭(中卯)前の丑の日で,神殿は園神が南,韓神が北にまつられていた。祭儀は神祇官が供物を供え,山人を迎えて庭火をたき,神馬の牽廻,祝詞奏上,歌舞,酒や膳がすすめられる直会(なおらい)などの行事がある。供物については《延喜式》四時祭,祭儀については《儀式》《北山抄》《江家次第》などにみえる。
執筆者:沼部 春友
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報