奈良・平安時代に諸国の神社のうち,特に由緒正しい神社の霊験にすぐれた祭神を名神と称した。《続日本紀》天平2年(730)10月29日条に,使者を派遣して渤海からの進物を諸国の〈名神社〉に奉らしめたとあるのが記録上の初見。《三代実録》貞観5年(863)3月4日条に,勅により〈七道諸国名神〉に幣を班(わか)ったが,それは今春に風邪が流行して多数が死んだので,〈名社神明〉に禱(いの)ったところ効験があったからだとある。延長5年(927)に成った《延喜式》巻三の臨時祭の条には〈名神祭二百八十五座〉とあり,計203社の神社が列挙され,おもに戦乱や災害など国家の大事に神祇官および国司がこれらの諸社に祈願の奉幣をすることになっていた。また同式巻九,十の神名(じんみよう)帳には,全国3132座(2861社)のうち〈名神大〉と注記がある神社は224社(306座)あって,前者の社数,座数と多少のずれがある。これら名神大社は,官幣と国幣の大社に限られていた。
執筆者:薗田 稔
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日本の国内の神社のなかでも、とくに年代も古く由緒も正しく、全国的にも霊験(れいげん)・崇敬が顕著で国家から特別の待遇を受けた神社をいい、一種の社格的な意味をもった。歴史的には、奈良時代中期に諸国の名神社に渤海(ぼっかい)の信物(しんもつ)を奉ったとあるのが初見で、その後平安初期より順次「名神」に列せられ、10世紀初めにまとめられた『延喜式(えんぎしき)』の制では、名神祭にあずかる神社として224社があげられている。国家の大事に際して奉幣(ほうべい)・祈請(きしょう)などが行われた。一例としては祈雨・止雨を祈る丹生川上(にうかわかみ)神社がある。
[牟禮 仁]
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…神の尊称の一つで,神威明らかな意。同音の名神に代わって9世紀半ばころから使われるようになったが,名神が《延喜式》臨時祭の条にいう名神祭にまつられる特定の神格に限っての称であるのに対して,明神号には祭祀上の限定はなく,近世には神祇伯を名のる吉田家が私に明神(または大明神)号を乱発するにいたっている。しかし記録の上では,《日本後紀》弘仁5年(814)9月15日条に豊稔を感謝して〈明神〉に奉幣したとあるのが初見で,その後《続日本後紀》承和10年(843)4月の条に山埼神が〈名神〉にあずかったとありながら,同15年(848)3月の条には同神を〈山埼明神〉と記しており,また嘉祥1年(848)11月の条には隠岐国伊勢命神がよく霊験を示すので〈明神〉に列せられたとあるなど,当初は従来の〈名神〉との混用があって同義であったらしい。…
※「名神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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