神馬(読み)じんめ

精選版 日本国語大辞典 「神馬」の意味・読み・例文・類語

じん‐め【神馬】

〘名〙 (「め」は「馬」の呉音現代、「しんめ」とも)
① 神の乗用に供する馬の意で、神社奉納した馬。神に参詣祈請のときなどに献上した馬。祈雨には黒毛、祈晴には赤毛など、目的によって毛色が異なった。また、後には絵馬風習にかわっていった。神駒(かみこま)
御堂関白記‐寛仁元年(1017)四月五日「例幣加金銀御幣神馬代
太平記(14C後)六「楠兵衛正成住吉に参詣し、神馬(メ)三匹之を献ず」

しん‐ば【神馬】

〘名〙
① ふしぎな馬。瑞相(ずいそう)の馬。神の使いの馬。
※続日本紀‐慶雲元年(704)五月甲午「前国献神馬。西楼上慶雲見」 〔史記楽書

じ‐め【神馬】

〘名〙 「じんめ(神馬)」の変化した語。

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デジタル大辞泉 「神馬」の意味・読み・例文・類語

しん‐め【神馬】

《「じんめ」とも》神の乗用として神社に奉納する馬。神駒かみこましんば

しん‐ば【神馬】

しんめ(神馬)

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改訂新版 世界大百科事典 「神馬」の意味・わかりやすい解説

神馬 (しんめ)

神の乗用として,また祈願祈禱のため,神社に奉献する馬のこと。〈じんめ〉とも読み,神駒(かみのこま)ともいう。いわゆる〈絵馬〉は,神馬の形を額に描いて奉納する略儀から生まれた。また,木石で彫刻したものを献ずる場合もある。神馬は必ず装飾するのを例とし,四手(しで)を額髪の左右および中に三つ,とり髪に五つ,尾のつけ根に七つ付けるという。この起源は明らかでないが,770年(宝亀1)8月に朝廷より幣帛を伊勢,八幡等へ奉る際,伊勢神宮へ赤毛馬1匹,八幡宮と若狭彦神へ鹿毛馬各1匹を献じたことが記録にみえる。以後,祈雨止雨や飢饉等の報賽として神馬を諸社に奉ったことが史書に散見する。《延喜式》の臨時祭の規定には,雨を祈る祭りには黒毛の馬,晴を祈る祭りには白毛の馬を奉献することがみえる。中世以降は,武将が戦勝を祈願する際に神馬奉献のことが盛んに行われた。古い神社では,境内に必ず神馬舎,神厩舎がおかれているのはこのためである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神馬」の意味・わかりやすい解説

神馬
しんめ

神が人間世界にやってくる際の乗り物として,神聖視された馬。じんめ,しんば,かみうま,などともいう。多くは白馬である。伊勢神宮や京都の賀茂神社(→賀茂御祖神社賀茂別雷神社)などの大きな神社では,ほかの馬とは区別されて特別に飼育された。絵馬の習俗は馬を奉納することができないかわりに,馬の絵をかいて奉納したものと伝えられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「神馬」の意味・わかりやすい解説

神馬
しんめ

神の乗る神聖な馬。多くの大社には神馬舎があって、他の馬とは区別して飼育されている。祭礼の神幸(しんこう)(神の臨行)の際にも神馬が使用される。現在でもそうした神馬神事が行われている。五穀豊穣(ほうじょう)などを祈願して、飾りたてた神馬を疾走させたりする。白馬はとくに珍重され、氏子は白馬の飼育を避けるという地域もある。神馬を神社に献進するのは古くからの風習で、絵馬の奉納はその後の変化だといわれている。

[佐々木勝]

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普及版 字通 「神馬」の読み・字形・画数・意味

【神馬】しんば

霊馬。

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