改訂新版 世界大百科事典 「土星状星雲」の意味・わかりやすい解説
土星状星雲 (どせいじょうせいうん)
Saturn Nebula
みずがめ座にある惑星状星雲。距離はこと座の環状星雲とほぼ等しい2300光年で,全体で8.4等級と惑星状星雲の中では2番目に明るい。太陽程度の質量をもつ星の一生の最後に外層が比較的ゆるやかに放出され,そのガスが残された中心星によって輝いている。放出の際に環状星雲のように等方的になっていなかったので,両側に明るい部分がのびた土星状の星雲になった。視直径は0.′7×0.′4で,実直径は約0.5光年である。これは環状星雲の約半分にあたり,環状星雲のガスより小さな空間にあるので密度が高くなっている。一般に星雲の明るさは輝いている部分の表面積と密度の2乗に比例するので,密度の高い土星状星雲のほうが明るく見える。星雲ガスは現在でも毎秒18kmもの速度で膨張しており,直径が徐々に大きくなっているが,明るさは逆に徐々に暗くなっていく。
執筆者:磯部 琇三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報