M57,NGC6720。こと座にある惑星状星雲。こと座のβ星とγ星の間にきれいな環状をして輝いている。明るさは9.4等級で,あれい星雲より暗いので,1779年になって発見された。数万年前に中心星の大気が不安定になり,太陽質量の0.3倍くらいのガスが放出された。ガスの膨張速度は毎秒10kmあまりである。短期間に一気に放出されたガスが球殻状に分布しているので,見かけの効果で環状に見えている。0.5光年に広がっているが,距離が2300光年もあるので,1′×1.4′程度にしか見えない。そのため,口径5cm以上の望遠鏡で倍率30倍以上でないと,きれいな環状構造を見ることができない。星雲ガスは1万Kもの高温になっており,中心星の放射する紫外光によって電離され輝いている。密度は1cm3あたり原子数にして1万個くらいあり,散光星雲より密度が高い。これらのことから,距離が遠くて,質量が小さいにもかかわらず表面輝度が明るい。
執筆者:磯部 琇三
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…そのガスは太陽質量の20%くらい,半径は0.1~2.0光年(6000~1万天文単位)で輝いている。太陽からの距離2000~3000光年以内の明るい惑星状星雲には,こぎつね座の亜鈴状星雲,みずがめ座の土星状星雲,こと座の環状星雲,おおぐま座のふくろう星雲などと,表面の模様によって固有名がついている。銀河系内に1000個余りが知られていて,いて座の銀河中心方向に数多く密集している。…
※「環状星雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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