土橋長兵衛(読み)ツチハシ チョウベエ

20世紀日本人名事典 「土橋長兵衛」の解説

土橋 長兵衛
ツチハシ チョウベエ

明治〜昭和期の実業家 土橋電気製鋼所長。 電気炉製鋼の発明者。



生年
慶応4年8月1日(1868年)

没年
昭和14(1939)年11月13日

出生地
信濃国諏訪郡上諏訪(長野県諏訪市)

経歴
酒造業を営む家に生まれる。のち宗家である土橋家養嗣子となり、長兵衛襲名。国産の金物製造を志し、明治37年諏訪湖畔に亀長電気工場を設立。40年には長野県島内村に工場を移し、安曇野電気株式会社と電力供給の契約を交わした。その傍ら電気冶金研究を進め、東京帝国大学教授俵国一らの協力を得て42年には日本初の電気炉製鋼に成功。のち社名を土橋電気製鋼所に改め、高速度鋼材・特殊鋼の開発や松本・箕輪への分工場増設などで大正前期には全盛期を迎えるが、第一次大戦後の不況製鋼業から撤退。しかし、晩年に至るまで電気冶金の研究を続け、そのために財産を使い果たしたという。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「土橋長兵衛」の解説

土橋長兵衛 つちはし-ちょうべえ

1868-1939 明治-昭和時代前期の実業家。
慶応4年8月1日生まれ。土橋八千太(やちた)の弟。電気冶金(やきん)の研究をおこない,明治41年長野県島内村(松本市)に亀長電気工場を設立。42年日本ではじめて電気炉製鋼に成功した。昭和14年11月13日死去。72歳。信濃(しなの)(長野県)出身

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の土橋長兵衛の言及

【電気炉】より

…電気炉鋼は各種ステンレス鋼,耐熱鋼,構造用合金鋼,工具鋼,特殊合金鋼として,化学工業,自動車工業,航空機工業,機械工業などにおいて使用されている。 日本で最初の電気炉製鋼は,1908年松本市において,土橋長兵衛の独学の研究と実験により開始され,工具鋼および合金鋼が製造された。大量の電力を消費する電気炉製鋼が松本で開始された背景には,余剰電力を有効に利用しようとする意図があった。…

※「土橋長兵衛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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