地域産業連関表(読み)ちいきさんぎょうれんかんひょう(英語表記)interregional input-output table

日本大百科全書(ニッポニカ) 「地域産業連関表」の意味・わかりやすい解説

地域産業連関表
ちいきさんぎょうれんかんひょう
interregional input-output table

一国内における県とか州などの地域的生産活動の特性を、地域相互間に行われる財貨・サービスの移出移入の関係を通して把握することを目的として作成される産業連関表のこと。

 通常の産業連関表は、一つの経済社会(国)全体について、産業間の技術的相互依存関係を通して結び付いている産業間の投入・産出構造を分析する目的で作成されるが、その手法を地域間の産業的結び付きの問題の解明に拡張して応用しようとしたものである。したがって、その表は、財貨・サービスの移出・移入が地域間および産業間の二重の分類で構成されるため、一般の産業連関表に比し、地域区分および産業区分が詳細になるにつれて複雑さは倍加する。地域産業連関表を構成する基本的要素は、一般的に示すと、s地域のj産業がr地域のi産業からその生産活動のために移入する量、あるいはr地域のi産業がs地域のj産業へ移出する量xijrsとして示される。そして、このs地域のj産業の総産出量Xjsに対するxijrsの比率aijrsがXjsの変動にかかわりなく一定であると仮定して分析が行われる。しかし、この移入係数aijrsについては、一般の産業連関表における投入係数に比して、産業間の技術的関連の安定性に加え、移出入の地域的関係の安定性をも要請されるため、全体としての安定性に問題が生ずることが多い。r地域のi産業からs地域の全産業への中間財(サービス)の移出量に、その財のr地域からs地域への最終需要としての移出(s地域の移入)量を加えたものを、i財に関するs地域での全中間需要プラス全最終需要の量で除した比率は、i財に関するr地域とs地域間の地域間交易係数となる。

高島 忠]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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