改訂新版 世界大百科事典 「地球放射」の意味・わかりやすい解説
地球放射 (ちきゅうほうしゃ)
terrestrial radiation
地球表面から放出される赤外放射のことで,地面放射ともいう。地球は長年にわたって太陽からエネルギーを受け取っているが,温度が変わらないのは,それに見合うエネルギーを放出しているからである。この放出は地表面からの赤外線によってなされる。放出されるエネルギー量は温度と吸収係数によって決まり,温度が高いほど,また吸収係数が大きいほど放出量が大きい。地表面は理論的に可能な最大の放射を放出する完全黒体とみなされている。黒体放射の波長別エネルギーはプランクの放射則によって与えられる。地表面温度が200~300Kの地球にプランクの放射則を適用すると,地表面から射出される熱放射の大部分は5~100μmの波長域に集中する。地表面から放出される赤外放射の全量はほぼσT04で表される。ここでσはシュテファン=ボルツマン定数,T0は地表面温度である。
→大気放射
執筆者:朝倉 正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報