基質特異性

  • substrate specificity
  • キシツトクイセイ

化学辞典 第2版の解説

酵素は特定の物質(基質)にのみ作用し,特定化学反応を起こさせる特徴を有する.これを酵素の基質特異性という.かつては酵素と基質の関係を鍵穴にたとえた.この概念は正しいが,酵素化学の進歩した現在では,酵素は鍵のように堅いものではなく,基質との結合に際し,高次構造変化を起こすこと,あるいは基質特異性を決定する部位が特定のアミノ酸残基によって構成されていること,などが明らかになっている.多くの酵素では,酵素-基質複合体立体構造も決定され,反応機構分子レベルで説明できるようになりつつある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典内の基質特異性の言及

【酵素】より

…またL‐アラニンを基質とするアラニン脱水素酵素はD‐アラニンには作用しない。このような特徴を酵素の基質特異性と呼ぶ。一方ではまた,たとえ基質が同じであっても,酵素が違えば反応が変わってくる。…

【酵素工業】より

… 酵素を用いることの利点は,酵素が生物体によって作られ,生物が行うさまざまの化学反応を触媒する物質であるということに依存している。すなわち,酵素は生物が生存できるような温和な条件のもとで最も効率よく反応し,また複雑な生体成分の特定の物質のみを認識して反応する(これを基質特異性という)が,これは通常の触媒による化学反応にくらべて著しい特徴である。温和な条件における反応は原料の不必要な変性を伴わないし,厳密な基質特異性は複雑な成分系の中で目的とする反応のみを正確に実現することができ,現代の工業が指向する省資源・省エネルギー的生産手段といえるのである。…

※「基質特異性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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