輸入の相手国や輸入価格あるいは輸入方法の違いによって、例外的に一般税率とは異なる税率を差別的に適用する関税をいう。これには、一般税率より低い税率を適用する場合と、高い税率を適用する場合とがある。具体的には、前者に特恵関税があり、後者に報復関税、相殺関税、ダンピング(不当廉売)防止関税などがある。
特恵関税には、イギリス連邦間特恵関税のように旧植民地と旧宗主国でグループを形成し、相互に特恵を供与しあうものや、開発途上国の開発や輸出促進を目的に、途上国からの輸入品に対して先進国が一般より低い税率の特恵関税を供与する一般特恵関税や後発開発途上国向けにさらに低い税率の特別特恵措置がある。報復関税は、一国がある国から第三国よりも不利な取扱いを受けた場合、その国からの輸入品に対して報復的に割高な関税を賦課する場合をいう。相殺関税は、輸出国が補助金や奨励金を交付することで輸出価格を不当に低くして輸入国の産業に損害を及ぼした場合、補助金などの効果を相殺するために賦課するものである。ダンピング防止関税も相殺関税の一種で、輸入品の不当な安売りから国内産業を保護するために割増し課税を行う。
こうした関税は、特定の場合の例外として発動されるもので、WTO(世界貿易機関)加盟国間では、差別的な関税を禁じ無差別を原則としている。
[秋山憲治]
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