塩竈・塩竈浦(読み)しおがま・しおがまのうら

日本歴史地名大系 「塩竈・塩竈浦」の解説

塩竈・塩竈浦
しおがま・しおがまのうら

歌枕。現在の塩竈市および東方に開ける塩竈湾一帯の呼称で、「伊勢物語」に載る左大臣源融河原院かわらのいん(跡地は現京都市下京区)逸話や「古今集」の東歌で古来著名である。

<資料は省略されています>

河原院の逸話とは、源融が邸内に塩竈の様を模し、毎月難波なにわ(現大阪市)の海から潮水を運ばせ、塩焼く煙を絶やさず風情を楽しんだというもの(「伊勢物語」「江談抄」「古今集註」など)。ただ源融は陸奥出羽按察使に任じられているものの、遥任であって実際には陸奥国に赴任していない。「和歌初学抄」に「陸奥しほがまの浦神マス」とあるように、一二世紀以降の歌学では、歌枕塩竈・塩竈浦の背景には、塩竈神社の霊地としての意識が存在していたと想定される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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