増価競売(読み)ぞうかけいばい(その他表記)Übergebotsverfahren

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「増価競売」の意味・わかりやすい解説

増価競売
ぞうかけいばい
Übergebotsverfahren

2003年の「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」の制定によって廃止された競売制度。既登記の抵当権者が対象不動産の第三取得者から滌除(てきじょ)の通知を受けた場合に,それを承諾しないとき,必要的に行なわれるべき特殊な対象不動産の競売(2003改正前民法384)。増価競売においては,第三取得者の提供金額より 1割以上の高価で売却されない場合には,抵当権者が 1割の増価額でみずから買い受けなければならなかった(2003改正前民事執行法185~187)。そのため,抵当権者などにとっては不利益になる危険の多い制度であるとして,2003年の改正法により廃止された。(→抵当権消滅請求

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世界大百科事典(旧版)内の増価競売の言及

【滌除】より

…たとえば,Aが100万円の債権を担保するためにB所有の不動産に対する抵当権を取得し,その後その不動産の所有権がBからCに譲渡されたような場合,Cはその不動産の自己評価額(たとえば60万円)をAに提供することによってAの抵当権を消滅させることができる。抵当権者としては,この滌除の申出を拒否することはできるが,その場合,抵当権者は増価競売の請求をしなければならない。増価競売においては,もし滌除金額より1割以上高価に不動産を売却することができないと,滌除金額の1割高で抵当権者みずからがその不動産を買い受けなければならない。…

※「増価競売」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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