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「抵当権消滅請求」の意味・わかりやすい解説
抵当権消滅請求【ていとうけんしょうめつせいきゅう】
抵当権設定後に抵当不動産の所有権を取得した第三者は,競売による差押えの効力の発生前に,抵当権の消滅を請求することができる(民法378条)。従来の滌除(てきじょ)制度には,増価買受手続における抵当権者の増価買受義務等により抵当権者に過大な負担を強いるといった問題があり,2003年の民法等の改正により見直しがなされた。新法によれば,第三取得者が,自らの判断で定めた代価等を支払うことによって抵当権を消滅させることができる点はこれまでの滌除制度と同じであるが,抵当権者は抵当権の実行にあたり第三取得者に通知する必要はなく,第三取得者の申し出があったときに2ヵ月以内は抵当権の実行手続を取ることができる。また,増価競売に関する民事執行法の条文は削除された。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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抵当権消滅請求
ていとうけんしょうめつせいきゅう
抵当権の目的となっている不動産を買い受けた者(抵当不動産の第三取得者)が、抵当権の実行としての差押えの効力が発生する前に抵当権の消滅を請求すること(民法379条)。具体的には、第三取得者が、抵当権登記をしたすべての債権者に当該不動産の代価を記載した書面を送付し(同法383条)、そのすべての債権者がそれを承諾すれば、第三取得者がその代価を支払いまたは供託したときに抵当権が消滅する(同法386条)。しかし、債権者が承諾しないときは、抵当権消滅請求の書面の送付を受けたときから2か月以内に抵当権を実行して競売の申立てをする必要がある。もしこの期間内に実行しないときは、抵当権者は、抵当権消滅請求を承諾したものとみなされる(同法384条1号)。
[野澤正充]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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抵当権消滅請求
ていとうけんしょうめつせいきゅう
抵当不動産の第三取得者が,抵当権者に対して,第三取得者の提供する代価などにより抵当権を消滅させるよう請求すること。2003年,「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」の制定によって民法に導入された(379条以下)。この改正以前は滌除(てきじょ)という同様の制度があったが,滌除には抵当権者に増価競売による買い受け義務があったため,抵当権者に十分な現金がない場合に,第三取得者が低額な代価での抵当権消滅をもくろむなど,その濫用が指摘されていた。そこで本制度では,抵当権者からの対抗策を通常の競売申し立てに変更し,また,滌除権濫用の温床とされていた抵当権者からの第三取得者に対する抵当権を実行する旨の通知義務も課されないことになった。(→抵当権)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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