日本大百科全書(ニッポニカ) 「増稠剤」の意味・わかりやすい解説
増稠剤(ぞうちょうざい)
ぞうちょうざい
thickening agent
主として食品や香粧品に、粘度や乳化安定性を増すために用いられる薬剤。増粘剤thickenerともいう。アイスクリーム、ジャム、ケチャップ、ソース、シロップ、サラダドレッシングなど種々の食品に用いられる合成糊料(こりょう)には、アルギン酸ナトリウム(海藻類に含まれるアルギン酸を抽出精製し、粉末塩にしたもの)、アルギン酸プロピレングリコールエステル(アルギン酸にプロピレンオキシドを加えエステル化したもの)、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリアクリル酸ナトリウムなどがある。一方、化粧水、シャンプー、乳液類などの増稠剤としては、天然高分子のクインシード(豆類から採取)、トラガカントガム(樹幹から採取)などがあり、前述のCMCやポリアクリル酸ナトリウムなどの合成品も適宜使用される。
[野村正勝]