日本大百科全書(ニッポニカ) 「売春禁止条約」の意味・わかりやすい解説
売春禁止条約
ばいしゅんきんしじょうやく
国際条約の一つ。正式名称は「人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約」。この条約は、白奴隷売買禁止に関する1904年協定および1910年条約(1948年議定書により改正)、女子・児童の売買禁止に関する1921年条約および成年女子の売買禁止に関する1933年条約(1947年議定書により改正)、ならびに、これらを一本化し内容の拡大を目ざした国際連盟の1937年条約草案を受けて起草され、1949年12月2日に国連総会によって採択された。売春と売春目的の人身売買に伴う害悪とが人間の尊厳および価値と相いれず、個人、家族、社会の福祉を危険に陥れるので、この条約が締結された。1951年7月25日に発効。日本は、1956年(昭和31)に制定された売春防止法の刑事処分の規定が1958年4月1日から実施されるに及び、同年5月1日に加入書を寄託し、7月30日に日本につき発効した。2011年7月時点の当事国は82か国、署名国は25か国である。
[芹田健太郎]