変形性肘関節症(読み)へんけいせいちゅうかんせつしょう(英語表記)Osteoarthritis of the elbow

六訂版 家庭医学大全科 「変形性肘関節症」の解説

変形性肘関節症
へんけいせいちゅうかんせつしょう
Osteoarthritis of the elbow
(運動器系の病気(外傷を含む))

どんな病気か

 長年の使用や(ひじ)へ繰り返される負担によって、軟骨がすり減ったり、骨の変形が生じたりする病気です。

原因は何か

 原因がはっきりしない加齢に伴う一次性の変形性肘関節症と、何らかの原因で生じる二次性の変形性肘関節症があります。二次性の原因には骨折脱臼(だっきゅう)などの外傷や、野球などのスポーツや、大工仕事などで過度に肘を使用することによって生じるものがあります。

症状の現れ方

 長時間の作業やスポーツなどで無理をした時などに肘関節に痛みが出ます。痛みの軽い場合もありますが、変形が進行するにつれて関節の動きが制限され、肘が完全に伸ばせなくなったり、洗顔や食事に支障が出たりします。

 変形に伴い肘の内側尺骨(しゃっこつ)神経圧迫による麻痺を生じ、手の力が入りにくくなったり、小指環指(かんし)薬指)にしびれなどが生じたりすることがあります。

検査と診断

 診断は、肘の動きや痛みの部位の診察X線検査で行います。X線検査では、関節軟骨のすり減りや骨の増殖骨棘(こっきょく))、関節内遊離体がないかなどを検査します。

治療の方法

 まずは痛みに対して安静、ホットパックや電気治療などの理学療法湿布痛み止め内服薬を用いた保存的治療を行います。

 関節の動きが悪く日常生活での支障がある場合には、切開または関節鏡を用いて関節の動きを邪魔している関節内の遊離体や増殖した骨の切除を行う関節形成術を行います。

 変形と痛みが強い場合には、人工関節で関節を置き換える手術も行われます。

 神経の症状がある場合には、神経の圧迫を取り除く手術が行われます。

病気に気づいたらどうする

 肘の関節に痛みがあり、反対側の肘と比べて動きが悪く日常生活に支障がある場合や、手にしびれがある場合には変形性肘関節症の可能性もあるため、整形外科での診察をすすめます。

尾崎 誠

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「変形性肘関節症」の解説

へんけいせいちゅうかんせつしょう【変形性肘関節症 Osteoarthritis of the Elbow Joint】

[どんな病気か]
 肘(ひじ)の関節に、トゲのような骨の突起(骨棘(こっきょく))ができるなどの変形がおこり、関節の動きが悪くなる病気です。
 骨折などが原因でおこるものと、年齢や労働が原因でおこるものとに分けられます。肘は、体重などがかかったりする関節ではないので、症状がでにくいものです。
[症状]
 肘の曲げ伸ばしが十分にできず、そのときに痛みもおこります。変形がひどくなると、肘の内側にある尺骨神経(しゃっこつしんけい)を刺激するため、手の指がしびれたり、さわった感じが鈍くなったり、握力が低下したりします。
[治療]
 手のしびれがなければ、消炎鎮痛薬を内服したり、肘に負担がかかるような仕事をひかえます。
 しびれがあるときは、手術して、尺骨神経を圧迫している部分を除いたり、肘関節の動きを制限している骨棘を切除したりします。肘の変形がひどい場合は、人工関節に置き換える手術を行なうこともあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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