身体の重量。着衣状態,食事や排便により変化するので,できるだけ裸体に近い状態で,同じ条件で計測するのが好ましい。年齢に対する体重は発育の程度や栄養状態を知るうえで重要な指標とされる。体重の成長は,一般型の成長パターンをたどる。体重の思春期のスパートは,身長のスパートより遅くおこる。ヒトだけでなく,類人猿にも体重の思春期のスパート,あるいはこれに対応すると思われる成長速度の急増が認められる。身長には成長の停止があるのに対し,体重は条件によっては成人になっても増加する。この場合,増加するのは主として脂肪である。
全身の太り具合を表すために,身長(cm)と体重(kg)の関係を表すさまざまな指数が提案されている。体重÷身長3×107(ローレル指数),体重÷身長2×104(body mass index。カウプ指数とも呼ぶ),体重÷身長×102(比体重。センチ体重とも呼ぶ),3\(\sqrt{体重}\)÷身長×103(ponderal index。リビ指数とも呼ぶ)。body mass index (BMI)は,近年肥満の程度を表すために使われている。WHOは,BMIの値に基づき,やせ(BMIが18.5未満),標準(18.5以上,25未満),肥満(25以上,30未満),高度肥満(30以上)に分類している。しかし,体重は脂肪と除脂肪組織の両方の重量の和であり,体組成には個人差があるので,体重が重ければ脂肪量も多いとは限らない。また,成人期の体重増加が主として脂肪の増加によるのに対し,成長期間中には除脂肪組織も増加するので,成長期においてはBMIの増加は必ずしも脂肪量の増加を示すわけではない。このため,とくに成長期の肥満の判定に上記の分類を用いることには批判がある。成長期には年齢別の基準値が,肥満の評価に使われている。身長と体重の関係に関する指数の成長に伴う変化の様相は,指数により異なる。青年ではローレル指数の値は身長と負の相関をもち,BMIの値は身長と無相関である。
→身長
執筆者:河内 まき子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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