岩石学辞典 「変成度」の解説
変成度
(A)ローゼンブッシュは花崗岩岩体の周囲の熱変成作用に変成帯(metamorphic zone)を設けて区別し変成作用の推定を行った.変成帯とはある特定の変成度(metamorphic grade)で特徴づけられるもので,次の三帯を推定した[Rosenbusch : 1877].(1) 点紋スレート帯(spotted slate),(2) 点紋雲母片岩帯(spotted mica-schist),(3) ホルンフェルス帯(hornfels).
(B)グルーベンマンは変成岩の分類に温度,圧力を考えて,次の三帯を考えた[Grubenmann : 1907].(1) エピ帯(epizone),(2) メソ帯(mesozone),(3) カタ帯(katazone).
(C)ハーカーは粘土質岩石の累進的な熱変成作用の場合に,次の三つの変成度を考えた[Harker : 1932].(1) 低度 : 点紋スレートの形成,(2) 中度 : 岩石は完全に再結晶化する,(3) 高度 : 新しい変成鉱物によって置換される.
(D)ティレーは変成度の等しい線を考え,異なった岩石が類似した温度圧力条件で平衡に達した場合には,これらの岩石はアイソグレード的(isogradic)であるとした[Tilley : 1924].
② metamorphic grade: 変成作用の相対的な強弱の程度を表すために様々な考えがある.これについては変成度(grade of metamorphism)を参照のこと.ティレーの考えでは,変成度は岩石が到達した変成作用の時期または程度をいう[Tilley : 1924].例えば低度の変成作用は緑色片岩相であり,高度の変成作用はエクロジャイト相という.