緑色片岩相(読み)りょくしょくへんがんそう(その他表記)greenschist facies

最新 地学事典 「緑色片岩相」の解説

りょくしょくへんがんそう
緑色片岩相

greenschist facies

世界の広域変成岩地域に広く発達する低温変成相。P.Eskola(1920)設定。塩基性変成岩が緑色片岩になるのでこの名がある。アノーサイト成分を含む斜長石はこの変成相では不安定で,通常は緑れん石アルバイトに分解。緑泥石白雲母はいつも出現し,方解石・ドロマイト・マグネサイトなどの炭酸塩鉱物も広く出現する。スティルプノメレンも安定である。この変成相にだけ出現し,ほかの変成相には出現しないという鉱物はない。ほかの変成相には出現するが緑色片岩相には出現しない鉱物は,沸石類・ホルンブレンド・輝石類など。次の式に示すようにSiO2が過剰にあってCO2・H2Oの圧力が低いとアクチノ閃石を生じ,高いとアクチノ閃石は不安定となりその代りに緑泥石や方解石が多くなる。5(Mg,Fe)3Si2O5OH4(緑泥石中の蛇紋石分子)+6CaCO3+14SiO2=3Ca2(Mg, Fe)5Si8O22(OH)(アクチノ閃石)+6CO2+7H2O。CO2・H2Oの圧力が一定ならアクチノ閃石は緑色片岩相の高温部に出現し,低温部には緑泥石・緑れん石・アルバイト・方解石・石英(典型的な緑色片岩の鉱物組合せ)が出現するということになるが,一般にはH2O・CO2は温度上昇とともに失われるので,H2O・CO2の圧力が低いことと温度上昇との両方が作用してアクチノ閃石を生ずるのが普通。泥質片岩についてはバロー型の変成岩地域の緑泥石帯と黒雲母帯とがこの変成相に属する。しかしざくろ石が緑泥石からできる反応は岩石中のMg・Fe2・Mnの存在比に左右され,Mnが多ければ,ざくろ石は緑色片岩相でも出現できる。緑色片岩相の変成温度は100~250℃ぐらいの範囲で,相当する火成相はないらしい。

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参照項目:各変成相の鉱物組み合わせ
参照項目:断層岩の分類と形成条件

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岩石学辞典 「緑色片岩相」の解説

緑色片岩相

緑色片岩相は低度の広域変成作用と変位変成作用の広い範囲を含んでいる.この変成相の岩石は中圧から高圧で低温の条件で再構築されたもので,緑泥石,緑簾石,アクチノ閃石などの緑色鉱物を多量に含む特徴がある[Eskola : 1920, 1939].エスコラは緑色片岩相はアルマンダイン石榴石や角閃石を含まないと定義しており,この両鉱物種を含む場合は緑簾石角閃岩相とした.緑色片岩相は一般に角閃石を含まないものが多いが,アクチノ閃石が含まれることがある.緑色片岩相の上限は緑簾石を伴い,斜長石の組成曹長石からオリゴクレースまたはアンデシンに変化する所が境界である[Eskola : 1920, 1939, Fyfe, et al. : 1958].緑色片岩相には特徴となる基準的な鉱物がはっきりしない.含水鉱物は実験結果からはかなり高温まで出現するので基準の鉱物にならない.緑色片岩相全体では,他の変成相の基準となるような鉱物を含まないものの総称といえる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「緑色片岩相」の意味・わかりやすい解説

緑色片岩相
りょくしょくへんがんそう
greenschist facies

広域変成岩地域に広く発達する低温変成相の一つ。主としてアルバイト (曹長石) ,アクチノ閃石 (陽起石) ,緑簾石,緑泥石などからできた岩石で,緑色の鉱物が多く全体に緑色がかって見える。 P.エスコラ (1920) によって提唱された変成相の一つで,スコットランド高地における累進変成作用の研究に基づいて考えられたものであるが,その後広く使われるようになっている。

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