20世紀日本人名事典 「夏川嘉久次」の解説
夏川 嘉久次
ナツカワ カクジ
- 生年
- 明治31(1898)年8月18日
- 没年
- 昭和34(1959)年4月8日
- 出生地
- 滋賀県彦根市
- 学歴〔年〕
- 彦根中学校中退
- 経歴
- 大正7年、中学を中退して父熊次郎が創立した近江絹綿に入社し、昭和5年に専務、12年には社長に就任。戦後の26年当時の繊維大不況に際しては、紡績機を半値で買うなどの逆手戦法の積極経営で、会社を10大紡の中位にまで押し上げる。しかし、前近代的な労務管理から29年には人権闘争を主張する近江絹糸争議が発生、「結婚の自由を認めよ」「信書開封の中止」など賃上げ以前の22項もの組合側要求が国際的にも注目されたのに対し、会社側はロックアウトで対抗。会社は労働基準法違反で強制捜査を受け、争議は3度目の中労委あっせんで106日ぶりに組合側の勝利に終わった。このためもあって翌30年には社長から会長に退き、2年後に退任する。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報