外部軌道錯体(読み)ガイブキドウサクタイ

化学辞典 第2版 「外部軌道錯体」の解説

外部軌道錯体
ガイブキドウサクタイ
outer-orbital complex

錯体結合混成軌道の概念で考え,八面体配置では,混成に用いられる軌道nsnp3nd2のときは外部軌道錯体,用いられるd軌道主量子数が一つ低く,(n-1)d2nsnp3であるときは内部軌道錯体と,H. Taube(タウビー)が定義した(1953年).[CoF6]3-前者の,[Co(NH3)6]3+後者の例である.L. Pauling(ポーリング)は結合のイオン性,共有性と関連させて,前者を本質的イオン結合錯体,後者を本質的共有結合錯体と名づけたが,分類が図式的なため,現在ではあまり用いられない.混成軌道に基礎をおく考え方は,一応,錯体の立体構造と磁性とを説明できるが,しかし,配位結合の定量的な議論,錯体の色と吸収スペクトルの解釈,銅(Ⅱ)錯体の構造と安定性などを説明することができない.[別用語参照]結晶場理論配位子場理論

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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