夜久駅(読み)やくのえき

日本歴史地名大系 「夜久駅」の解説

夜久駅
やくのえき

「延喜式」兵部省諸国駅伝馬条にみえる西海道大宰府路(山陽道と大宰府を結ぶ道)に設けられた駅で、駅馬一五疋を配備する。当駅は遠賀おんが郡内に置かれたもので、現八幡西区の上津役こうじやく地名を「上ツ夜久」(夜久の上手)の転訛したものと考え、同地区から下手折尾おりお地区付近に当駅の所在を比定する説が早くからあった。ところで「日本後紀」大同元年(八〇六)五月一四日条には山陽道の諸駅が蕃客に備えて「瓦葺粉壁」の駅であったことがみえる。近年の兵庫県龍野たつの小犬丸こいぬまる廃寺(播磨国布勢駅家跡)、広島県府中ふちゆう下岡田しもおかだ遺跡(安芸国安芸駅家跡)などの発掘調査の結果、この記載が事実であったことが明らかになり、山陽道に続く大宰府路の諸駅も瓦葺の駅家であった可能性が強くなった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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