日本海に面し、東は
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茨城県南東部の淡水湖。鹿島台地と行方(なめがた)台地にはさまれた南北に細長い湖で,流入河川は巴川など20近くあるが,流出河川は鰐(わに)川のみで,外浪逆浦(そとなさかうら),常陸利根川を経て利根川に通じる。面積36.1km2。最大深度7m。洪積台地面の河刻によって生じた低地への滞水によって成立した。近世初期まで関東平野東部に広く水域を占めた流海(ながれうみ)の残存部分にあたり,海退に伴う水域縮小に次いで,流入河川による湖面の埋立てが進み,湖岸線の出入りがめだっている。近世には漁業とともに舟運が栄え,東北諸藩の産米,物産の江戸回送は17世紀に河村瑞軒が外海回り江戸直航のルートを開くまで海難の多かった鹿島灘海域をさけ,那珂湊から涸沼(ひぬま),北浦,利根川,江戸川を経て江戸に至る輸送路(一部は陸送)が主であった。明治に入ってからも昭和初期まで,外輪蒸気船による定期航路があり,高瀬船による貨物輸送も活発に行われた。典型的な富栄養湖で,ワカサギ,シラウオ,コイ,フナなどの淡水漁業が盛んであり,観光のために帆引網によるワカサギ漁も行われる。鹿島臨海工業地域への工業用水,都市用水の水源としても重要であるが,雑排水の流入,塩害防止を理由に建設された常陸川水門による湖水滞留が水質悪化を招いている。
執筆者:中川 浩一
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茨城県南東部にある湖。鹿嶋(かしま)市、鉾田(ほこた)市と行方(なめがた)市、潮来(いたこ)市、神栖(かみす)市に囲まれた南北25キロメートルの細長い形をなす。面積36.2平方キロメートル、周囲75キロメートル、最大水深7メートル。富栄養湖。鹿島、行方両台地の間の侵食谷状の低地に水をたたえ、かつて南端は霞ヶ浦(かすみがうら)に連なっていた。湖岸は鋸歯(きょし)状に岬と入り江が交互し、北から巴(ともえ)川が注ぎ、南は鰐(わに)川、外浪逆浦(そとなさかうら)、常陸(ひたち)川を経て利根(とね)川に流出している。南部は常陸川水門ができるまで潮の干満の影響を受けた。古代から内陸水路となり河岸(かし)集落が発達し、近世には湖頭の鉾田が栄え、明治から昭和初期まで鉾田―鹿島―潮来間に汽船が通じた。漁業では、フナやコイなどが漁獲され、ワカサギの帆引(ほびき)船も1983年(昭和58)には二十数隻残っていたが、その後は動力船にかわり、1999年(平成11)には観光用4隻が残るのみであった。また、近年コイの養殖業が増加した。鹿島臨海工業地域の工業用水、都市用水として利用されている。東に鹿島臨海鉄道、南に神宮橋とJR鹿島線、北に鹿行(ろっこう)大橋がある。南部は水郷筑波国定公園(すいごうつくばこくていこうえん)に属し、沿岸はフナ、タナゴの釣り場となっていたが、近年はブラックバスの釣り客が多い。
[櫻井明俊]
宮崎県北部、東臼杵(ひがしうすき)郡にあった旧町名(北浦町(ちょう))。現在は延岡市(のべおかし)の北東部を占める地域。大分県に隣接し日向灘(ひゅうがなだ)に面す。旧北浦町は1972年(昭和47)町制施行。2006年(平成18)延岡市に編入。県北海岸部は六ヶ浦(むがうら)と称されたが、明治時代に北浦、南浦に統一された。大分県側とともに日豊海岸国定公園(にっぽうかいがんこくていこうえん)に含まれ、山がちのリアス海岸線である。国道388号が通じる。近世は延岡藩領。漁業が盛んで、イワシ、アジ、サバ漁が中心。漁港は市振(いちぶり)にある。沖合い約3キロメートルの高島はビロウ樹の自生地で、国指定天然記念物である。
[横山淳一]
『『北浦町史』全5巻(1994~2002・北浦町)』
茨城県南東部、行方郡(なめがたぐん)にあった旧町名(北浦町(まち))。現在は行方市の北東部を占める地域。1955年(昭和30)津澄(つすみ)、要(かなめ)、武田(たけだ)の3村が合併して北浦村となり、1997年(平成9)町制施行。2005年麻生(あそう)、玉造(たまつくり)2町と合併して市制施行、行方市となった。北浦に臨む行方台地と湖岸低地からなる。国道354号が通り、鹿行(ろくこう)大橋で北浦対岸の鉾田(ほこた)市と結ばれる。中世は武田氏や佐竹氏が支配、近世は小藩に分属された。米と野菜の農業が中心で、とくにミツバは茨城県第一の産地。化蘇沼(けそぬま)の稲荷(いなり)神社祭礼では奉納相撲(ずもう)が行われる。
[櫻井明俊]
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…半島東端付近には弓ヶ浜の砂州がのびて中海を抱き,半島の丘陵とは境海峡で隔てられる。日本海岸は北浦と呼ばれ,リアス海岸で好漁場をなし,片江(美保関町),御津(みつ),恵曇(えとも)(ともに鹿屋町),十六島(うつぷるい)(平田市)などの漁港がある。半島南部の低地は古来出雲国の中心をなし,出雲大社をはじめ出雲神話にちなむ神社が多い。…
…また台地上には〈能古島牛牧〉があった。13世紀には元寇の古戦場となり,江戸時代は福岡藩の馬牧,鹿の狩場がおかれ,南部の北浦や江ノ口などは廻船業で栄えた。第2次大戦中から開拓され,野菜栽培が行われる。…
※「北浦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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