精選版 日本国語大辞典 「下手」の意味・読み・例文・類語
した‐て【下手】
〘名〙 (「したで」とも)
※平家(13C前)四「つよき馬をばうは手にたてよ、よはき馬をばした手になせ」
※西園寺鷹百首(14C後‐15C前か)「した手よりよこさまに立まはる鳥そかひに鷹ぞよりて空とる」
② 他より劣ること。また特に、下の地位、または、その地位にあるもの。主従関係において従う方のもの。下位。下輩。
※太平記(14C後)六「元来其の心闊如として、人の下風(シタテ)に立ん事を思はざりければ」
④ 相撲で、相手の差し手の下から相手のまわしを取ること。また、その手。⇔上手。〔無刊記刊本碧巌鈔(1620‐40頃)〕
しも‐て【下手】
② 劇場の舞台の、客席から見て左側の部分。しもざ。
※歌舞伎・四天王楓江戸粧(1804)三立「この時下座にて人音するゆゑ、下手(シモテ)の方へ小隠れする」
③ 部屋などで、地位の低い人のすわる方。
げ‐しゅ【下手】
〘名〙
① (━する) 物事にみずから手をくだすこと。
※律(718)賊盗「若群党共殺。止移二下手者及頭首之人一」
※山王絵詞(1310頃)八「此訴人は、汝十三歳の時、備前の国に在し時、とらへし所の魚類也。まさしく下手せすといへとも、漁人にともなひし故に、訴申所也云云」
② (━する) 物事に手をつけること。着手。
③ 身分などの低い人。人の下についている人。下輩。下種(げす)。
※左経記‐長元四年(1031)正月二八日「宣孝朝臣、依レ打二彼国住僧道覚之下手一、公家有レ召」
へた【下手】
〘名〙 (形動) (「はた(端)」あるいは「へた(端)」の変化したもので、奥深くないの意からか)
① 物事に巧みでないこと。拙劣であること。劣ること。手ぎわの悪いこと。また、そのさまや人。
※連理秘抄(1349)「取るまじき所を取り、捨つまじき所を捨つるはへた也」
② なまじっかなことをして結果が悪くなること。また、そのさま。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「額の汗を下手(ヘタ)に拭と、色男の面が藍隈になる」
※二つの話(1946)〈井伏鱒二〉「へたして、小者どもにたかられるな」
③ 身分が卑しいこと。また、性質や行状のよくないこと。また、そのさまや人。
※袖中抄(1185‐87頃)二「わろき身を、へたとも云也」
くだり‐て【下手】
〘名〙 細工の劣るもの。安価な下等品。安物。
※浮世草子・好色五人女(1686)二「くだり手のかたし目貫」
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